女子日本代表:アジア競技大会[決勝]日本 72-74 中国 悔しさとともに、成長や手応えを感じられた銀メダル
「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」の決勝へ進んだ女子日本代表の最後の相手はFIBAランキング2位、今夏のFIBA女子アジアカップ決勝で敗れ、6連覇を阻まれた中国と対戦。序盤に10点リードされながらも後半にディフェンスから立て直し、同点まで追いつきます。しかし逆転には至らず、72-74の2点差でふたたび惜敗。目標としていた金メダルには届きませんでしたが、「選手たちも自分たちのバスケを出せれば、勝利に近づけるという手応えを感じたと思います」と恩塚亨ヘッドコーチはチーム一丸となって良いエネルギーで戦い抜いた選手たちを労うととに、勝たせてあげられなかったことを悔やみます。
敗因となったのが第1クォーターであり、4連続失点から7-17と二桁リードを許します。恩塚ヘッドコーチは「相手にプレッシャーを受けたことでリズムがなかなか作れず、少し力が入ってしまったところもありました」と話し、中国はディフェンスから速攻や3ポイントシュートを決め、まさに日本と同じスタイルで点差を開かれてしまいました。髙田真希選手(デンソー アイリス)も、「近年の中国は日本に近いようなスタイルになり、さらに身長があるので世界でも勝てていけるようになったと思います」という印象を受けています。だからこそ、「負けてはいけなかったです。もっとチームとして戦わなければならなかったです」と続け、前半は中国にリズムを渡してしまいました。第2クォーター開始早々には18-35、この試合最大となる17点差をつけられます。しかし、平下愛佳選手(トヨタ自動車アンテロープス)や林咲希選手(富士通レッドウェーブ)の3ポイントシュートや、ディフェンスから速攻が決まり、日本のスタイルが出はじめたことで40-45と点差を縮めて前半を折り返します。
第3クォーターは6点差が縮まらないもどかしい時間帯が続きます。3ポイントシュートを打たせてもらえず、51-57。6点を追いかける最後の10分間、東藤なな子選手(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)が最初にシュートを決め、4点差。赤穂ひまわり選手(デンソー アイリス)と東藤選手がゲームを引っ張り、残り5分を切って63-64と1点差に迫ります。
本橋菜子選手(東京羽田ヴィッキーズ)に続き、星杏璃選手(ENEOSサンフラワーズ)も体調不良で決勝は欠場。ガード陣の枚数が減る中、残り3分2秒に川井麻衣選手(トヨタ自動車アンテロープス)が同点弾を決めます。宮崎早織選手(ENEOSサンフラワーズ)は、「(山本麻衣選手に代わって)途中から合宿に参加してくれた川井選手が、今日も活躍をしてくれたので、私自身もすごく助けられました」と幾度となく見せ、チームを救います。中国にリードを奪い返されても、赤穂選手がオフェンスリバウンドを奪ってねじ込み、残り13.8秒には林選手が3ポイントシュートを沈め、72-72とふたたび追いつきます。続く中国がオフェンスを成功させ、72-74。残り時間が迫る中、もう一度日本のチャンスがまわってきました。
「普通に打ったんですけど、あの場面で決められなかったのがめちゃくちゃ悔しいです」と赤穂選手のゴール下からのシュートが決まりません。72-74で中国に敗れた日本は、1994年広島大会以来となる銀メダルを獲得し、今大会を終えました。
髙田選手は「率直に悔しいです」と話す一方で、「ゲームの中で選手同士が話し合いながら修正し、表現できていました。このチームの経験として、すごく良いものを得られたとも思っています」と日本の新たなスタイルを定着させるきっかけをつかみます。恩塚ヘッドコーチは「相手がこうきたら、こうする」とオフェンスでもディフェンスも常に予測し、それを上回るプレーをシステムなどに落とし込みながら強化してきました。昨年のFIBA女子ワールドカップでは、その理想とプレーがかけ離れた感もありましたが、今大会を通じて具現化しはじめています。「一番大事なのは、決められたことばかりをしていてもうまくはいきません。その決められた中でどうやって相手の裏をかき、そして裏をかいたときにまわりの選手が、これならばこういう動きだよねと、スムーズに合わせて動くことができればもっともっと良くなっていくと思います」と髙田選手にとっても、手応えを実感できる大会となりました。
今年7月2日に行われたFIBA女子アジアカップ決勝と同じ、2点差(71-73)の悔しい敗戦。同じ2点差を比較し、「感覚的にはFIBA女子アジアカップのときよりも、日本らしいゲームができていました。でも、最後に2点差を勝ち切れなかったことが大きな課題でもあります」と感想を述べるのは、シューターとして自信を持ってプレーしていた平下選手。赤穂選手は「前半に45失点は取られすぎでした。後半はディフェンスを修正し、74点まで守れたのは良かったです。でも、まだまだ改善点も多くあります」。宮崎選手も「前半にうまくできなかったディフェンスが、結果に響いてしまいました。相手のガード(#4 LI Yuan選手)に点数を取られすぎたのは責任を感じています。もっとプレッシャーをかけながらも、自分のマークマンは自分で守り切る。日本の方が脚力はあるので、前半からディフェンスでもっと声を出してうまくできていれば、この2点の差は埋まっていたと思います」。同じ2点差で敗れましたが、今回はその背中を捉えることができました。
決勝終了後、日付が変わった10月6日未明、来年2月8日より開幕する「FIBA パリ2024オリンピック世界最終予選」(※以下OQT)の組み合わせが決定。16チームが出場し、4チームずつ4会場に分かれ、12枚あるパリ2024オリンピックへの切符を争います。日本は開催地のハンガリーをはじめ、スペインと11月に行われるアメリカとブラジルを除くアメリカ大陸予選を勝ち抜いたチームを合わせた4チームで、上位3チームに入ってパリ2024オリンピック出場を目指します。
今大会の目標だった金メダルには届きませんでしたが、目的としていた来年のOQTにつなげることはでき、恩塚ヘッドコーチも評価しています。宮崎選手は「チームの雰囲気もすごく良かったですし、次のOQTに向けてチーム全体でがんばっていきたいです」と前を向きます。髙田選手も「この結果は悔しいですが、OQTで勝ち切ることが重要です。この試合と同じような展開もあると思います。そこで勝ち切る力を得るためにも、もっとチーム力を高めていかなければいけないことも感じました」と経験値を高めた女子日本代表は、世界一の大きな目標へ向かっていきます。
日本に帰国したAKATSUKI JAPAN バスケットボール女子日本代表選手
髙田真希選手 コメント
敗因となったのが第1クォーターであり、4連続失点から7-17と二桁リードを許します。恩塚ヘッドコーチは「相手にプレッシャーを受けたことでリズムがなかなか作れず、少し力が入ってしまったところもありました」と話し、中国はディフェンスから速攻や3ポイントシュートを決め、まさに日本と同じスタイルで点差を開かれてしまいました。髙田真希選手(デンソー アイリス)も、「近年の中国は日本に近いようなスタイルになり、さらに身長があるので世界でも勝てていけるようになったと思います」という印象を受けています。だからこそ、「負けてはいけなかったです。もっとチームとして戦わなければならなかったです」と続け、前半は中国にリズムを渡してしまいました。第2クォーター開始早々には18-35、この試合最大となる17点差をつけられます。しかし、平下愛佳選手(トヨタ自動車アンテロープス)や林咲希選手(富士通レッドウェーブ)の3ポイントシュートや、ディフェンスから速攻が決まり、日本のスタイルが出はじめたことで40-45と点差を縮めて前半を折り返します。
第3クォーターは6点差が縮まらないもどかしい時間帯が続きます。3ポイントシュートを打たせてもらえず、51-57。6点を追いかける最後の10分間、東藤なな子選手(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)が最初にシュートを決め、4点差。赤穂ひまわり選手(デンソー アイリス)と東藤選手がゲームを引っ張り、残り5分を切って63-64と1点差に迫ります。
本橋菜子選手(東京羽田ヴィッキーズ)に続き、星杏璃選手(ENEOSサンフラワーズ)も体調不良で決勝は欠場。ガード陣の枚数が減る中、残り3分2秒に川井麻衣選手(トヨタ自動車アンテロープス)が同点弾を決めます。宮崎早織選手(ENEOSサンフラワーズ)は、「(山本麻衣選手に代わって)途中から合宿に参加してくれた川井選手が、今日も活躍をしてくれたので、私自身もすごく助けられました」と幾度となく見せ、チームを救います。中国にリードを奪い返されても、赤穂選手がオフェンスリバウンドを奪ってねじ込み、残り13.8秒には林選手が3ポイントシュートを沈め、72-72とふたたび追いつきます。続く中国がオフェンスを成功させ、72-74。残り時間が迫る中、もう一度日本のチャンスがまわってきました。
「普通に打ったんですけど、あの場面で決められなかったのがめちゃくちゃ悔しいです」と赤穂選手のゴール下からのシュートが決まりません。72-74で中国に敗れた日本は、1994年広島大会以来となる銀メダルを獲得し、今大会を終えました。
髙田選手は「率直に悔しいです」と話す一方で、「ゲームの中で選手同士が話し合いながら修正し、表現できていました。このチームの経験として、すごく良いものを得られたとも思っています」と日本の新たなスタイルを定着させるきっかけをつかみます。恩塚ヘッドコーチは「相手がこうきたら、こうする」とオフェンスでもディフェンスも常に予測し、それを上回るプレーをシステムなどに落とし込みながら強化してきました。昨年のFIBA女子ワールドカップでは、その理想とプレーがかけ離れた感もありましたが、今大会を通じて具現化しはじめています。「一番大事なのは、決められたことばかりをしていてもうまくはいきません。その決められた中でどうやって相手の裏をかき、そして裏をかいたときにまわりの選手が、これならばこういう動きだよねと、スムーズに合わせて動くことができればもっともっと良くなっていくと思います」と髙田選手にとっても、手応えを実感できる大会となりました。
今年7月2日に行われたFIBA女子アジアカップ決勝と同じ、2点差(71-73)の悔しい敗戦。同じ2点差を比較し、「感覚的にはFIBA女子アジアカップのときよりも、日本らしいゲームができていました。でも、最後に2点差を勝ち切れなかったことが大きな課題でもあります」と感想を述べるのは、シューターとして自信を持ってプレーしていた平下選手。赤穂選手は「前半に45失点は取られすぎでした。後半はディフェンスを修正し、74点まで守れたのは良かったです。でも、まだまだ改善点も多くあります」。宮崎選手も「前半にうまくできなかったディフェンスが、結果に響いてしまいました。相手のガード(#4 LI Yuan選手)に点数を取られすぎたのは責任を感じています。もっとプレッシャーをかけながらも、自分のマークマンは自分で守り切る。日本の方が脚力はあるので、前半からディフェンスでもっと声を出してうまくできていれば、この2点の差は埋まっていたと思います」。同じ2点差で敗れましたが、今回はその背中を捉えることができました。
決勝終了後、日付が変わった10月6日未明、来年2月8日より開幕する「FIBA パリ2024オリンピック世界最終予選」(※以下OQT)の組み合わせが決定。16チームが出場し、4チームずつ4会場に分かれ、12枚あるパリ2024オリンピックへの切符を争います。日本は開催地のハンガリーをはじめ、スペインと11月に行われるアメリカとブラジルを除くアメリカ大陸予選を勝ち抜いたチームを合わせた4チームで、上位3チームに入ってパリ2024オリンピック出場を目指します。
今大会の目標だった金メダルには届きませんでしたが、目的としていた来年のOQTにつなげることはでき、恩塚ヘッドコーチも評価しています。宮崎選手は「チームの雰囲気もすごく良かったですし、次のOQTに向けてチーム全体でがんばっていきたいです」と前を向きます。髙田選手も「この結果は悔しいですが、OQTで勝ち切ることが重要です。この試合と同じような展開もあると思います。そこで勝ち切る力を得るためにも、もっとチーム力を高めていかなければいけないことも感じました」と経験値を高めた女子日本代表は、世界一の大きな目標へ向かっていきます。