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FIBAワールドカップ2023[予選グループE/第2戦]日本98-88フィンランド:6215日ぶりに世界戦で勝利!「これは男子日本バスケにとってすごく大きな一歩」富樫勇樹キャプテン
 「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」予選グループEの第2戦は、男子日本代表が98-88でフィンランドに勝利。最後に世界大会で勝利したのは、2006年に同じく日本で開催されたFIBA世界選手権(現ワールドカップ)でのパナマ戦(78-61)。実に17年6日(6215日)ぶりとなる歴史的1勝を挙げました。



 「ヨーロッパのチームに国際大会で勝つのは簡単なことではないですし、これは男子日本バスケにとってすごく大きな一歩です」とは、富樫勇樹キャプテン(千葉ジェッツ)。その言葉どおり、FIBAワールドカップに過去5大会出場し、ヨーロッパ勢には1度も勝てていません。オリンピックでは1964年東京大会の予選ラウンドでハンガリー(○58-41)、イタリア(○72-68)、そして9-12位決定戦でフィンランドに54-45で勝利。すべての世界大会において、ヨーロッパ勢に勝利したのも59年ぶりの快挙でした。

 「経験の差が勝負どころで出てくる中で勝ち切ったことが、今のチームにとっては何より大きな経験値になります。本当に苦しい時間もたくさんありましたけど、僕以外のメンバーが本当にがんばってくれて勝利できました」とドイツ戦で少し足を痛めていた渡邊雄太選手(フェニックス・サンズ)は4点に留まりましたが、後輩たちに頼もしさを感じています。

 前半だけで14点を挙げた比江島慎選手(宇都宮ブレックス)は、「ディフェンスでスイッチをしてこなかったので、多少のズレが起これば自分のものだと思っていました。ファウルをもらう技術を向上させてきたことがうまくいきました」と突破口を開きます。第1クォーターを22-15でリードしましたが、フィンランドに55%(6/11本)の高確率で3ポイントシュートを許し、逆に日本は27%(3/11本)の半分しか決められず、前半は36-46と10点を追いかけて折り返します。

 その後もフィンランドが先行して試合が進み、第3クォーター残り2分43秒には53-71と、この試合最大となる18点差をつけられました。追いつくために、「ディフェンスよりも得点した方が良いと思った」というトム・ホーバスヘッドコーチは、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)と富永啓生選手(ネブラスカ大学)の若い2人に試合を託します。ともに4/7本の3ポイントシュートを決め、チームを勢いづけました。



 得点力を期待されてコートに入った富永選手ですが、「3ポイントシュートを決められたのもうれしかったですが、それ以上にディフェンスで貢献できたことで選手としての成長になり、自信がつく試合になりました」と3本のスティールを記録。18点を追いかけていた時間帯にディフェンスで我慢したことで、第4クォーターに35点を挙げた爆発力につながりました。吉井裕鷹選手(アルバルク東京)は、「前半はうまくいかないことが多かったですが、ディフェンスで(ラウリ)マルカネン選手とマッチアップするタイミングでは、1点もやらなかったところは自信を持ってできました」という活躍から反撃開始。第4クォーター残り3分51秒、河村選手がゴールへアタックし、ファウルをもらいながら得点を決め、78-78同点。フリースローもしっかりと決め、1点リードし逆転します。

 28点/19リバウンド、試合への貢献度を示すEFFICIENCYは現時点で今大会トップとなる44。素晴らしい数字を残し、勝利に導いたジョシュ・ホーキンソン選手(サンロッカーズ渋谷)の活躍に、「モンスター。信じられない」とホーバスヘッドコーチも驚きます。2ポイントシュート(19/30本)、3ポイントシュート(11/28本)、フリースロー(27/34本)といずれも試投数は30本前後を放ち、オフェンスバランスの良さが勝因の決め手となりました。98-88、日本がフィンランドから奪った98点は、世界大会において過去最多得点です。

 18点ビハインドされても「誰ひとりとして、あきらめている選手はいなかったです。3ポイントシュートを1〜2本決めれば一桁差に追いつき、そうなったら1〜2分でひっくり返せるという自信がチームとしてあります。10点差のところでなかなか追いつかない時間帯はありましたが、そこをしっかりと我慢できたことが大きかったです」と富樫選手は自分たちの力を信じて戦ったことで、ついに勝利しました。

 今大会の結果次第では代表引退も考えている渡邊選手に対し、「引退なんてさせないですよ」と河村選手は力強い言葉を贈ったそうです。「素晴らしいフィンランドを相手に勝てたことは、自信を持って良いと思います。ただ、自分たちの目標はアジア1位になることであり、フィンランドに勝つことを目標にしてきたわけではないです。この後に全敗して、アジア1位になれなければ、この勝利も意味がないものになってしまいます」と河村選手は浮き足立つことなく、しっかりと先を見据えた新たな一歩を踏み始めました。

 渡邊選手も「本当に大きな1勝ですが、まだまだ僕たちはこれからです。次のオーストラリアに勝てば、パリ2024オリンピック出場に大きく近づくと思います。逆に、この1勝で満足してしまえば、パリへの切符を逃すことだってあります」とさらなる戦いへ気を引き締めます。富樫キャプテンも同じく、まだ旅の途中であることを強調しました。

「この12人だけではなく、今まで代表に関わってくれたみんなや関係者など、いろんな人たちのサポートと、いろんなうまくいかないことを乗り越え、その経験を経て得られた1勝です。これからこの一歩を、さらにもう一つ上に行けるようなチームになっていけるように努力していきたいです」

■FIBA バスケットボールワールドカップ2023 試合日程
・8月29日 (火) vs オーストラリア (20:10 TIP OFF)
【テレビ放送】 19:54~ テレビ朝日系(生中継) ※一部地域を除く
【インターネット配信】DAZN、TVer(生配信)