女子U19日本代表:FIBA U19女子ワールドカップ総括「私のコーチキャリアのターニングポイントになるような試合が続いた予選でした」藪内夏美ヘッドコーチ
「FIBA U19女子バスケットボールワールドカップ2023」を戦い抜いた女子U19日本代表は昨日7月25日(火)、無事帰国しました。今大会出場チームの中で唯一、180cmを超える選手がいない小さな日本が、世界6位となった戦いを藪内夏美ヘッドコーチに振り返っていただきました。選手コメントとともに、ご紹介致します。
■藪内夏美ヘッドコーチ
今大会へ向けた合宿を行っていたときから、初戦のイタリア戦にピークを合わせて準備してきました。ある程度のデータはありましたが、実際に対戦してみなければ分からないことも多かったです。そのため、「効率良く走ること」「ディフェンスでファイトすること」をとにかく徹底すれば勝負はできるかなという思いもありました。その結果、92-71で勝利し、幸先良いスタートを切ることができました。
次のブラジルは身体能力の高い選手を擁し、重たいゲームになるかもしれないという不安はありました。しかし、この試合も本当に最後まで足を止めずに、良いスペーシングを作り続けたことで88-58と勝利しました。予選ラウンドで1番重要とし、強豪だったのがリトアニアです。選手の能力が高く、チームとしても完成されており、厳しい戦いになるのは想定内。特にエースの#4Juste Jocyte選手をチームでどう守るかを準備し、薮(未奈海)選手が最後まで体を張ってがんばってくれました。
ディフェンスがうまくいったことで、そこを起点としたチームオフェンスが徐々に試合を通して、練習してきたことが形になってきたのが見えた試合でした。正直、私のコーチキャリアのターニングポイントになるような試合が続いた予選ラウンドでした。
日本は予選グループCを1位通過しましたが、Round of 16の相手となるグループDは、中国がエジプトに負けたことで順位が変わり、その準備も難しかったです。この大会はRound of 16が1番重要であり、上位8位に行けるかどうかの分かれ目になります。昨年のFIBA U18アジア選手権でも対戦し、準決勝で敗れた中国との対戦が決まりました。身長が大きく、良い選手も多いので内心はとても不安でした。案の定、昨年に敗れた時と同じく、ビッグマンがずっと下がり続けるディフェンスをしてきました。悔しい思いをした私たちは、それに対抗するプレーを準備しており、それを選手たちはしっかりと表現してくれました。先に大会を終えた女子U16日本代表も同じく、効率良く走ってディフェンスでハッスルするだけで、アドバンテージを取ることができました。そのベースに加えて、戦術的な部分でどこまでがんばれるかがポイントになる試合でしたが75-58で勝利し、私にとっても成長することができました。
準々決勝のフランス戦は78-80で延長の末に敗れました。何よりも相手のリバウンドに入ってくるエネルギーを強調すれば良かったと、試合後にコーチ陣としての反省点が残りました。やはりこちらも不安になってしまって、選手たちに情報量を多く与えてしまったことで、最終的には相手のオフェンスリバウンドや球際の強さで、試合を持って行かれてしまいました。延長まで追い上げた選手たちは本当に素晴らしく、そこで勝たせてあげられなかったことがすごく悔しいです。
5-8位決定戦へ回りましたが、選手たちは気持ちを切り替え、いつも通り元気に戦った結果、チェコに67-51で勝利し、練習試合と同じような試合ができました。最後の相手となったマリには、前回大会の予選ラウンドで負けています。マリはRoud of 16でオーストラリアを破り、対戦するチームはあの独特なリズムにのまれてしまって良いパフォーマンスが出せていませんでした。ジャッジもかなり惑わされるような展開も多かったです。私たちも同様に、最後までリズムを取り戻すことができず、61-73で最後の試合を勝つことはできませんでした。
9試合を戦う持久力や試合力が著しく低下したのが、課題として浮き彫りになりました。アンダーカテゴリーの場合は大会に来てからはじめて経験することの方が多く、他のチーム同様にいろんなチームと試合をしてから臨めれば良いのですが、そこは今後の課題です。
大会を通して、終盤に追い上げる力は素晴らしかったです。もう作戦などではなく、とにかくスペーシングを取って走ること。「必要があればプレーコールは出すから、とにかく信じて走り続けてほしい」と終始、コートで戦う選手たちには伝えていました。走り続けたことで自ずとスペーシングができ、そこでカッティングしていくことで中と外の良いバランスができたのが大きなポイントです。
小さいチームでしたが、選手たちは練習や試合を重ねるごとにチーム力を上げていってくれました。繰り返しになりますが、「走ること」「カッティングをどれだけ入れれるか」「ボールマン一人ではペイント内も攻めづらいのでオフボールの人が可能な限り合わせていくこと」を徹底しただけです。オフェンスでは、ペイントアタックをどれだけできるかを突き詰めていったことでリズムができ、それを選手たちが少しずつ手応えを感じて良いプレーにつながっていきました。
たった1回しかない19歳にやって来たチャンスであり、がんばっている姿を見せることで全国の同じ19歳に元気を届ける思いでみんなは戦っていました。次のカテゴリーは女子日本代表となり、まだまだ課題は多いですが、候補選手に呼ばれて欲しいと思っています。今大会に出場した各国の選手は、エースが最終日に出ないケースがありました。それは、飛び級が当たり前の文化として根付いており、次の戦いに備えていたからです。女子U19日本代表を良い選手を輩出し、どんどん下からも引き上げていきたいです。
■#38 山本遥香キャプテン(立命館大学2年)
ワールドカップのどの試合もメンバー全員の力で戦い抜くことができたと思います。その中でも、チームが上手くいかない時に選手だけで流れを変えることができた点は、今大会の試合の良かった点であり、私たちの強みであるように思いました。世界と比べて身長の差はありましたが、激しい当たり合いからのルーズボールなど、球際の争いは私たちが今大会まだ足りなかったところであるように思います。
個人的には、準々決勝から持ち味である3ポイントシュートを多く沈めることができなかったので、後半は身体も疲れが残ってくる中での試合で決め切る力をつけていきたいと思います。また、人生初のキャプテンを日本代表という場で任され、プレッシャーも少なからずありましたが、チームのみんな、そしてコーチ陣、ファンの皆さんの力があったからこそやり通すことができました。世界大会という貴重な経験を得て、その中でメンバーそれぞれ課題が見つかったと思います。私を含め、メンバー全員がその課題を武器に変え、また日本代表という場で出会えるように日々成長していきたいと思います。
最後に、最終試合を勝ちきって笑顔で終わるというかたちにはなりませんでしたが、世界6位という成績を誇りに思い、胸を張って日本に帰りたいと思います。全試合、日本からたくさんの声援をありがとうございました。皆さんの熱い応援がとても力になりました。引き続き、日本代表そしてバスケットボール界の応援をよろしくお願いします!
■#23 森岡ほのか選手(日立ハイテク クーガーズ)
どの相手も自分たちよりも高さやパワーがある分、ボックスアウト一回の勝負だったり、一回のオフェンスでどれだけ良い形でシュートを打てるかをプレーをしながら選手同士で考えたことで、毎試合良くなっていました。毎回タフなゲームが続く中、試合中に相手のオフェンスやディフェンスにアジャストして、コミュニケーションを多く取りながら戦えたことは良かったと思います。
個人的には、初戦から自分らしいプレーができなかったり、シュートが入らなかったりした中で、今の自分にできることを考えて、プレーに波のないディフェンス、リバウンド、ルーズボールをがんばろうと思っていました。後半戦は自分のタイミングで3ポイントシュートを打つことや、得点でもチームに貢献できたことが良かったと思います。流れの中の1対1をもっと増やしたり、高さがある中でのシュートフィニッシュスキルがまだ足りていないと実感しました。世界の相手は常にコンタクトが激しく、どんどん体力も削られて競ったときに粘り勝つことができませんでした。自チームに戻ったときも、このコンタクトのレベルを忘れずに、最後まで走り切る体力をつけてまた一歩レベルアップしていきたいです!
■#77 都野七海選手(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
自分たちは体をしっかり当て続けることや、早い展開でバスケットをすることを意識してきて、それをこの大会で出せたことはすごく良かったなと感じています。個人的には、ゲームメイクの難しさや個人スキルのレベルの違いに気付かされました。もっといろんなことを吸収して、成長していきたいと思います。
目標であったメダル獲得はできませんでしたが、とても良い経験ができました。このチーム、スタッフの方々、メンバーと一緒に戦うことができてすごく楽しかったです! そして、いろんな形で応援してくださったファンの皆様、本当にありがとうございました!! メンバー全員、今後はそれぞれのチームに戻って活躍していきますので、これからも応援の程よろしくお願いします。
■#91 大脇晴選手(東京医療保健大学2年)
まず1番に感じたのは小さくても走ったり、リバウンドに行ったり、当たり前のことを徹底していけば世界を相手にも対等に戦えたことです。練習から走ることやリバウンドの徹底、ディフェンスの強度を上げることなど、基本的なことを意識してきてました。そこを遂行できれば、世界に通用することを感じられました。
貴重な経験をさせていただいたので所属チームに帰ってからも、もっと自分からみんなに思ったこと発信したり、コート内でもっとコミュニケーションを取ったり、先輩もいますが遠慮せずにもっと自分の良いところを発揮していきたいです。
メダル獲得を目標にしていましたが、準々決勝で負けてしまいました。女子ユニバ日本代表の先輩たちには、私たちの代わりにメダルを持ち帰ってきて欲しいです。がんばってください!
■藪内夏美ヘッドコーチ
今大会へ向けた合宿を行っていたときから、初戦のイタリア戦にピークを合わせて準備してきました。ある程度のデータはありましたが、実際に対戦してみなければ分からないことも多かったです。そのため、「効率良く走ること」「ディフェンスでファイトすること」をとにかく徹底すれば勝負はできるかなという思いもありました。その結果、92-71で勝利し、幸先良いスタートを切ることができました。
次のブラジルは身体能力の高い選手を擁し、重たいゲームになるかもしれないという不安はありました。しかし、この試合も本当に最後まで足を止めずに、良いスペーシングを作り続けたことで88-58と勝利しました。予選ラウンドで1番重要とし、強豪だったのがリトアニアです。選手の能力が高く、チームとしても完成されており、厳しい戦いになるのは想定内。特にエースの#4Juste Jocyte選手をチームでどう守るかを準備し、薮(未奈海)選手が最後まで体を張ってがんばってくれました。
ディフェンスがうまくいったことで、そこを起点としたチームオフェンスが徐々に試合を通して、練習してきたことが形になってきたのが見えた試合でした。正直、私のコーチキャリアのターニングポイントになるような試合が続いた予選ラウンドでした。
日本は予選グループCを1位通過しましたが、Round of 16の相手となるグループDは、中国がエジプトに負けたことで順位が変わり、その準備も難しかったです。この大会はRound of 16が1番重要であり、上位8位に行けるかどうかの分かれ目になります。昨年のFIBA U18アジア選手権でも対戦し、準決勝で敗れた中国との対戦が決まりました。身長が大きく、良い選手も多いので内心はとても不安でした。案の定、昨年に敗れた時と同じく、ビッグマンがずっと下がり続けるディフェンスをしてきました。悔しい思いをした私たちは、それに対抗するプレーを準備しており、それを選手たちはしっかりと表現してくれました。先に大会を終えた女子U16日本代表も同じく、効率良く走ってディフェンスでハッスルするだけで、アドバンテージを取ることができました。そのベースに加えて、戦術的な部分でどこまでがんばれるかがポイントになる試合でしたが75-58で勝利し、私にとっても成長することができました。
準々決勝のフランス戦は78-80で延長の末に敗れました。何よりも相手のリバウンドに入ってくるエネルギーを強調すれば良かったと、試合後にコーチ陣としての反省点が残りました。やはりこちらも不安になってしまって、選手たちに情報量を多く与えてしまったことで、最終的には相手のオフェンスリバウンドや球際の強さで、試合を持って行かれてしまいました。延長まで追い上げた選手たちは本当に素晴らしく、そこで勝たせてあげられなかったことがすごく悔しいです。
5-8位決定戦へ回りましたが、選手たちは気持ちを切り替え、いつも通り元気に戦った結果、チェコに67-51で勝利し、練習試合と同じような試合ができました。最後の相手となったマリには、前回大会の予選ラウンドで負けています。マリはRoud of 16でオーストラリアを破り、対戦するチームはあの独特なリズムにのまれてしまって良いパフォーマンスが出せていませんでした。ジャッジもかなり惑わされるような展開も多かったです。私たちも同様に、最後までリズムを取り戻すことができず、61-73で最後の試合を勝つことはできませんでした。
9試合を戦う持久力や試合力が著しく低下したのが、課題として浮き彫りになりました。アンダーカテゴリーの場合は大会に来てからはじめて経験することの方が多く、他のチーム同様にいろんなチームと試合をしてから臨めれば良いのですが、そこは今後の課題です。
大会を通して、終盤に追い上げる力は素晴らしかったです。もう作戦などではなく、とにかくスペーシングを取って走ること。「必要があればプレーコールは出すから、とにかく信じて走り続けてほしい」と終始、コートで戦う選手たちには伝えていました。走り続けたことで自ずとスペーシングができ、そこでカッティングしていくことで中と外の良いバランスができたのが大きなポイントです。
小さいチームでしたが、選手たちは練習や試合を重ねるごとにチーム力を上げていってくれました。繰り返しになりますが、「走ること」「カッティングをどれだけ入れれるか」「ボールマン一人ではペイント内も攻めづらいのでオフボールの人が可能な限り合わせていくこと」を徹底しただけです。オフェンスでは、ペイントアタックをどれだけできるかを突き詰めていったことでリズムができ、それを選手たちが少しずつ手応えを感じて良いプレーにつながっていきました。
たった1回しかない19歳にやって来たチャンスであり、がんばっている姿を見せることで全国の同じ19歳に元気を届ける思いでみんなは戦っていました。次のカテゴリーは女子日本代表となり、まだまだ課題は多いですが、候補選手に呼ばれて欲しいと思っています。今大会に出場した各国の選手は、エースが最終日に出ないケースがありました。それは、飛び級が当たり前の文化として根付いており、次の戦いに備えていたからです。女子U19日本代表を良い選手を輩出し、どんどん下からも引き上げていきたいです。
■#38 山本遥香キャプテン(立命館大学2年)
ワールドカップのどの試合もメンバー全員の力で戦い抜くことができたと思います。その中でも、チームが上手くいかない時に選手だけで流れを変えることができた点は、今大会の試合の良かった点であり、私たちの強みであるように思いました。世界と比べて身長の差はありましたが、激しい当たり合いからのルーズボールなど、球際の争いは私たちが今大会まだ足りなかったところであるように思います。
個人的には、準々決勝から持ち味である3ポイントシュートを多く沈めることができなかったので、後半は身体も疲れが残ってくる中での試合で決め切る力をつけていきたいと思います。また、人生初のキャプテンを日本代表という場で任され、プレッシャーも少なからずありましたが、チームのみんな、そしてコーチ陣、ファンの皆さんの力があったからこそやり通すことができました。世界大会という貴重な経験を得て、その中でメンバーそれぞれ課題が見つかったと思います。私を含め、メンバー全員がその課題を武器に変え、また日本代表という場で出会えるように日々成長していきたいと思います。
最後に、最終試合を勝ちきって笑顔で終わるというかたちにはなりませんでしたが、世界6位という成績を誇りに思い、胸を張って日本に帰りたいと思います。全試合、日本からたくさんの声援をありがとうございました。皆さんの熱い応援がとても力になりました。引き続き、日本代表そしてバスケットボール界の応援をよろしくお願いします!
■#23 森岡ほのか選手(日立ハイテク クーガーズ)
どの相手も自分たちよりも高さやパワーがある分、ボックスアウト一回の勝負だったり、一回のオフェンスでどれだけ良い形でシュートを打てるかをプレーをしながら選手同士で考えたことで、毎試合良くなっていました。毎回タフなゲームが続く中、試合中に相手のオフェンスやディフェンスにアジャストして、コミュニケーションを多く取りながら戦えたことは良かったと思います。
個人的には、初戦から自分らしいプレーができなかったり、シュートが入らなかったりした中で、今の自分にできることを考えて、プレーに波のないディフェンス、リバウンド、ルーズボールをがんばろうと思っていました。後半戦は自分のタイミングで3ポイントシュートを打つことや、得点でもチームに貢献できたことが良かったと思います。流れの中の1対1をもっと増やしたり、高さがある中でのシュートフィニッシュスキルがまだ足りていないと実感しました。世界の相手は常にコンタクトが激しく、どんどん体力も削られて競ったときに粘り勝つことができませんでした。自チームに戻ったときも、このコンタクトのレベルを忘れずに、最後まで走り切る体力をつけてまた一歩レベルアップしていきたいです!
■#77 都野七海選手(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
自分たちは体をしっかり当て続けることや、早い展開でバスケットをすることを意識してきて、それをこの大会で出せたことはすごく良かったなと感じています。個人的には、ゲームメイクの難しさや個人スキルのレベルの違いに気付かされました。もっといろんなことを吸収して、成長していきたいと思います。
目標であったメダル獲得はできませんでしたが、とても良い経験ができました。このチーム、スタッフの方々、メンバーと一緒に戦うことができてすごく楽しかったです! そして、いろんな形で応援してくださったファンの皆様、本当にありがとうございました!! メンバー全員、今後はそれぞれのチームに戻って活躍していきますので、これからも応援の程よろしくお願いします。
■#91 大脇晴選手(東京医療保健大学2年)
まず1番に感じたのは小さくても走ったり、リバウンドに行ったり、当たり前のことを徹底していけば世界を相手にも対等に戦えたことです。練習から走ることやリバウンドの徹底、ディフェンスの強度を上げることなど、基本的なことを意識してきてました。そこを遂行できれば、世界に通用することを感じられました。
貴重な経験をさせていただいたので所属チームに帰ってからも、もっと自分からみんなに思ったこと発信したり、コート内でもっとコミュニケーションを取ったり、先輩もいますが遠慮せずにもっと自分の良いところを発揮していきたいです。
メダル獲得を目標にしていましたが、準々決勝で負けてしまいました。女子ユニバ日本代表の先輩たちには、私たちの代わりにメダルを持ち帰ってきて欲しいです。がんばってください!