FIBA U19ワールドカップ総括:コーチ陣が振り返る史上初世界ベスト8達成の裏側
「FIBA U19ワールドカップ 2023」決勝は、73-69でフランスを破ったスペインが世界一の頂点に立ちました。3連覇を目指すアメリカは準決勝でフランスに3点差の惜敗。3位決定戦でもトルコに敗れ、4位に終わっています。それほど拮抗した優勝争いであり、史上初のベスト8へ進出した男子U19日本代表にとって、はじめて味わう真剣勝負。アレハンドロ・マルチネスヘッドコーチは大会前に「何よりもまずは、この大会を通して選手たちが国際経験を積むことが大事になります」と話していたとおりの素晴らしい結果を残しました。
「世界最高のチームと対戦し、勝つことが難しいのは分かっていました。それでもベスト8に入ったことで素晴らしい成果につなげられました」とマルチネスヘッドコーチは総括し、少なからず世界へ一歩近づくことができた大会です。試合毎に選手たちを成長し続けるために、「ボールを共有し、ターンオーバーを少なくし、常に最善のショットを探し、ボックスアウトに懸命に取り組むことを重要視していました。それが達成できたときに、良いバスケができていました」と評価します。ベスト8進出を決めたハンガリー戦も、予選でのエジプト戦もリバウンドこそ相手に上回れましたが、しっかりとターンオーバーはコントロールでき、相手よりも少なく抑えられたことが勝因でした。
2021年の前回大会はインターハイ直前だったために帯同できませんでしたが、FIBA U18アジア選手権や強化合宿で指導してきた常田健アシスタントコーチと入野貴幸アシスタントコーチ。 前回大会は1勝もできない悔しい結果に終わりましたが、今回はすでえにプロとして戦っている岡田大河選手(Zentro Basket Madrid)と湧川颯斗選手(滋賀レイクス)をはじめ、さらに海外組やBリーグユースの選手など幅広い層から構成されたことで、「日常から世界基準で練習に取り組む選手が増えたことが向上した要因だと考えられます」と入野アシスタントコーチはメリットを見出します。
前回はコロナ禍で海外遠征や練習試合もできないまま、大会へ臨まなければなりませんでした。しかし今回はスペイン遠征で優勝したスペインをはじめ、「大会前に世界レベルのチームと練習試合で強化を図ることができたことが大きかったです。今までは世界レベルに面を食らってしまっていた印象がありますが、今回は免疫をつけて大会に臨めたのも良かったです」という準備の違いもベスト8進出のきっかけになりました。
大会中、アシスタントコーチ陣は「ヘッドコーチが求めるバスケを遂行できるように言葉を噛み砕いて伝えたり、エラーが起きている原因を究明し、対応できるようにサポートを心掛けました。ハーフタイムは2分間、我々が気づいたことを伝える時間があり、後半の修正点を伝えることができました。選手たちの成長とともに、我々コーチスタッフ陣も手厚くサポートし、彼らが掲げた過去最高位の目標につなげていかなければならないと感じていました」と話すとおり、チーム一丸となって戦った結果が前人未到の記録達成の裏側です。
マルチネスヘッドコーチとともに世界に挑む戦術や戦略を説いてきたアシスタントコーチ陣だからこそ、3大会連続出場へ向けた課題が早くも明確になっていました。以下に列記致します。
①ファンダメンタル
例えばパスとドリブルの出し方(突き方)・強さ・タイミング・回数がキーワードになる。これはヘッドコーチが強調していた「ボールシェア」につながる。試合で無駄を無くし、適切な使い方を覚えていく必要がある。また、速攻を出したい日本に対し、相手のトランジションディフェンスが大きく、ボールストップの上手さだけではなく、速攻を出すチャンスを逸脱させられた。パスやドリブルの改善により、速攻の改善にもつながる。
②ディフェンスへの取り組み
ヘッドコーチは1on1で守ることを前提にゲームプランが練られていた。そのため、日頃から一人でフィジカルに守ることをベースとする上で、相手に対応することが必要である。国内ではなかなか経験できない部分だが、他国は激しいディフェンスが基本となっているため、日常を世界基準に変えていかなければ難しい課題でもある。
③レフェリーとの基準を合わせていく
日本と世界の笛の基準に異なりを感じた。ヘッドコーチは「ファウルを有効に使う」ことも強調していた。特に、相手の速攻からレイアップに行かれる前にファウルを上手く使い、スローインからディフェンスをすることを求めていたが、今回は上手く遂行できなかった。日本では、速攻を止めようとボールにプレーしてもファウルがコールされる。しかし、世界ではボールマンの推進力が落ちなければ笛は鳴らず、結果としてそのまま失点につながってしまった。オフェンスレベルの問題もあるが、全く鳴らない印象もあり、そこに対するアジャストに苦労した。競技力向上とともに、判定力向上をレフェリーと協力しながら高めていくことが重要だと思われる。
世界との真剣勝負を繰り広げ、また学生として接する日本の選手たちを育成してきたアシスタントコーチ陣だからこそ、最終戦を終えた直後でも、これだけの課題が挙げてくれました。今後、強化部や技術委員を通して、さらなる検証を行いながら、継続的に世界へ挑めるように強化は続いていきます。
FIBA U19ワールドカップを通じて、日本の強みとして「3ポイントシュート」をマルチネスヘッドコーチは挙げましたが、それ以外は「まだまだ改善しなければならないことがたくさんあります」という現実を知る大会になりました。最終戦後のロッカールームでは「まずスタッフ全員、それから選手たちの努力と働きに対して感謝する。そして短期的、中期的、長期的な視野で、彼らの今後の活躍を祈る」と伝え、この経験をした全員にとってここがスタートラインになります。
「世界最高のチームと対戦し、勝つことが難しいのは分かっていました。それでもベスト8に入ったことで素晴らしい成果につなげられました」とマルチネスヘッドコーチは総括し、少なからず世界へ一歩近づくことができた大会です。試合毎に選手たちを成長し続けるために、「ボールを共有し、ターンオーバーを少なくし、常に最善のショットを探し、ボックスアウトに懸命に取り組むことを重要視していました。それが達成できたときに、良いバスケができていました」と評価します。ベスト8進出を決めたハンガリー戦も、予選でのエジプト戦もリバウンドこそ相手に上回れましたが、しっかりとターンオーバーはコントロールでき、相手よりも少なく抑えられたことが勝因でした。
2021年の前回大会はインターハイ直前だったために帯同できませんでしたが、FIBA U18アジア選手権や強化合宿で指導してきた常田健アシスタントコーチと入野貴幸アシスタントコーチ。 前回大会は1勝もできない悔しい結果に終わりましたが、今回はすでえにプロとして戦っている岡田大河選手(Zentro Basket Madrid)と湧川颯斗選手(滋賀レイクス)をはじめ、さらに海外組やBリーグユースの選手など幅広い層から構成されたことで、「日常から世界基準で練習に取り組む選手が増えたことが向上した要因だと考えられます」と入野アシスタントコーチはメリットを見出します。
前回はコロナ禍で海外遠征や練習試合もできないまま、大会へ臨まなければなりませんでした。しかし今回はスペイン遠征で優勝したスペインをはじめ、「大会前に世界レベルのチームと練習試合で強化を図ることができたことが大きかったです。今までは世界レベルに面を食らってしまっていた印象がありますが、今回は免疫をつけて大会に臨めたのも良かったです」という準備の違いもベスト8進出のきっかけになりました。
大会中、アシスタントコーチ陣は「ヘッドコーチが求めるバスケを遂行できるように言葉を噛み砕いて伝えたり、エラーが起きている原因を究明し、対応できるようにサポートを心掛けました。ハーフタイムは2分間、我々が気づいたことを伝える時間があり、後半の修正点を伝えることができました。選手たちの成長とともに、我々コーチスタッフ陣も手厚くサポートし、彼らが掲げた過去最高位の目標につなげていかなければならないと感じていました」と話すとおり、チーム一丸となって戦った結果が前人未到の記録達成の裏側です。
マルチネスヘッドコーチとともに世界に挑む戦術や戦略を説いてきたアシスタントコーチ陣だからこそ、3大会連続出場へ向けた課題が早くも明確になっていました。以下に列記致します。
①ファンダメンタル
例えばパスとドリブルの出し方(突き方)・強さ・タイミング・回数がキーワードになる。これはヘッドコーチが強調していた「ボールシェア」につながる。試合で無駄を無くし、適切な使い方を覚えていく必要がある。また、速攻を出したい日本に対し、相手のトランジションディフェンスが大きく、ボールストップの上手さだけではなく、速攻を出すチャンスを逸脱させられた。パスやドリブルの改善により、速攻の改善にもつながる。
②ディフェンスへの取り組み
ヘッドコーチは1on1で守ることを前提にゲームプランが練られていた。そのため、日頃から一人でフィジカルに守ることをベースとする上で、相手に対応することが必要である。国内ではなかなか経験できない部分だが、他国は激しいディフェンスが基本となっているため、日常を世界基準に変えていかなければ難しい課題でもある。
③レフェリーとの基準を合わせていく
日本と世界の笛の基準に異なりを感じた。ヘッドコーチは「ファウルを有効に使う」ことも強調していた。特に、相手の速攻からレイアップに行かれる前にファウルを上手く使い、スローインからディフェンスをすることを求めていたが、今回は上手く遂行できなかった。日本では、速攻を止めようとボールにプレーしてもファウルがコールされる。しかし、世界ではボールマンの推進力が落ちなければ笛は鳴らず、結果としてそのまま失点につながってしまった。オフェンスレベルの問題もあるが、全く鳴らない印象もあり、そこに対するアジャストに苦労した。競技力向上とともに、判定力向上をレフェリーと協力しながら高めていくことが重要だと思われる。
世界との真剣勝負を繰り広げ、また学生として接する日本の選手たちを育成してきたアシスタントコーチ陣だからこそ、最終戦を終えた直後でも、これだけの課題が挙げてくれました。今後、強化部や技術委員を通して、さらなる検証を行いながら、継続的に世界へ挑めるように強化は続いていきます。
FIBA U19ワールドカップを通じて、日本の強みとして「3ポイントシュート」をマルチネスヘッドコーチは挙げましたが、それ以外は「まだまだ改善しなければならないことがたくさんあります」という現実を知る大会になりました。最終戦後のロッカールームでは「まずスタッフ全員、それから選手たちの努力と働きに対して感謝する。そして短期的、中期的、長期的な視野で、彼らの今後の活躍を祈る」と伝え、この経験をした全員にとってここがスタートラインになります。