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男子U22日本代表:オーストラリア遠征へ出発「(河村)勇輝の活躍はうれしいけど、やっぱり悔しい」黒川虎徹選手
今年7月28日より中国・成都で開幕する「FISUワールドユニバーシティ―ゲームズ」へ向けた強化の一環として、男子U22日本代表は2月28日(火)より約1週間のオーストラリア遠征をスタートさせました。今後の大会で勝利を目指すためだけではなく、「トム・ホーバスヘッドコーチが目指すスタイルは変えず、この中から男子日本代表へ引き上げられたときにスムーズに入っていけるコンセプトは継続してます」という網野友雄ヘッドコーチは選手たちの将来を見据えた強化を図ります。

 先日行われた 「FIBA ワールドカップ 2023 アジア予選(Window6)」で男子日本代表デビューを飾った金近廉選手(東海大学2年)は、イラン戦で20点を挙げる活躍を見せました。直前合宿には市川真人選手(白鷗大学3年)と小川敦也選手(筑波大学2年)が招集されたのも、男子U22日本代表にとっては大きな成果です。今後も、男子日本代表へつなげていくことが最大のミッションです。

 遠征メンバー12人のうち10人がディベロップメントキャンプ参加者であり、ホーバスヘッドコーチの練習を経験しています。その後、Window6での試合を見たことで、男子日本代表に入ったときにどうプレーすれば良いかイメージを持つことができました。その一人である脇真大選手(白鷗大学3年)は、「ドライブからペイントタッチして、シューターに良いパスを出すことが僕の仕事です。Window6で2番や3番の選手が、実際に教わったプレーをしているのを見て自信がつきました。あとは、自分が苦手としている3ポイントシュートを決めるだけです」と、求められていることが合致したようです。


 ホーバスヘッドコーチがチームを作るベースとして、「日本のスピードを生かし、ペースを速くし、フルコートディフェンスをするためにもポイントガードは3人必要」と明言。今回のメンバー表に記されたそのポジションは、小川選手と黒川虎徹選手(東海大学3年)の2人だけ。網野ヘッドコーチは、「2番や3番ポジションの選手たちにも積極的にチャレンジさせ、ポジションレスで誰でもゲームメイクのきっかけになれるように意識しています」という目的を持っています。シューターとして頭角を現しはじめた金近選手にも、「どんどんプレーメイクして欲しいですし、このカテゴリーであればできます」と期待を寄せ、どのポジションでもプレーの幅を広げさせることが将来につながります。

 金近選手や脇選手が高校時代、チームのスコアラーとしてオールラウンドに活躍してきました。彼らがアンダーカテゴリーの合宿に参加しはじめたときから、フリオ・ラマス前ヘッドコーチがポジションアップを提唱してきた世代です。脇選手自身も、「男子U18日本代表候補としてはじめて合宿に参加したとき、『ポイントガードだってできるぞ』と当時の佐古(賢一)ヘッドコーチや他のコーチたちが言ってくれました。そこから意識してボール運びや、アタックできるという自信がつきました。あの合宿のおかげで、自分のプレースタイルが変わって行きました」と話すとおり、チャレンジしたことが実を結びはじめています。

 このチームのキャプテンを任された黒川選手は、ディベロップメントキャンプを経験していない1人です。他の選手に追いつくために、「早くセットプレーなどをインプットできるかを意識して臨んでいます」と言い、頭も体もフル回転させていました。はじめての海外遠征へ向け、「オフェンスでもディフェンスもどれだけフィジカルにプレーできるか、パスの精度がどれだけ通用するかを試したいです」と抱負を語ります。日本代表のスタイルを貪欲に吸収し、網野ヘッドコーチの指示に対してもすぐに反応できるバスケIQの高さとリーダーシップを持ち合わせています。


 そんな黒川選手にとって、東海大学の後輩である金近選手と同級生の河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)が日本代表で活躍する姿が大きな刺激になっています。チームメイトの活躍を誇らしく思うととともに、「大学生でも日本代表に選ばれるチャンスがあるんだ、と感じています。特に勇輝のプレーや試合はチェックしています。活躍してくれるのはうれしいですが、やっぱり悔しい部分もあります。少しでも追いつけるように意識しています」と心境を吐露しつつも、チームが変わってもお互いに高め合っていることでU22世代がしっかりと日本バスケ界を押し上げてくれています。

 コロナ禍で国際大会が延期や中止となり、十分に合宿や海外遠征ができなかったこの世代。今持てる力をすべてを出し切り、多くの課題を持ち帰って来ることで、オーストラリア遠征が実りあるものになります。