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男子日本代表:3ヶ月間に及ぶ今夏の活動を終え、「トムさんのバスケットが完全に理解できた時間になりました」富樫勇樹選手
「FIBAワールドカップ2023 アジア地区 2次予選(Window4)」を終え、今夏の男子日本代表活動は一段落が着き、それぞれ所属チームに戻って新シーズンへ向けた準備に入ります。6月のディベロップメントキャンプからスタートし、吉井裕鷹選手(アルバルク東京)や井上宗一郎選手(サンロッカーズ渋谷)、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)、富永啓生選手(ネブラスカ大学)ら多くの若手選手が台頭。彼らとともに、3ポイントシュートとディフェンスの役割に徹し、FIBAアジアカップ2022では33点をマークした30歳の須田侑太郎選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)を含め、「素晴らしい成長が見られました」というトム・ホーバスヘッドコーチは、3ヶ月間の強化期間を振り返ります。

「候補選手40人からスタートし、どう組み合わせればフィットするのかを試しながらのチーム作りは難しかったです。この3ヶ月でオフは10日程度しかありませんでしたが、練習や試合などさまざまなことに取り組みました。そのおかげで日本が目指すリズムをつかみ、それぞれの役割を理解することができました。いろんな経験ができたことで、選手たちのメンタルが強くなったと感じています」

 FIBA アジアカップでは渡邊雄太選手(ブルックリン・ネッツ)が、Window4では馬場雄大選手が合流し、「本当にチームがガラッと変わりました。他の選手も生き生きしはじめており、それぞれが持ち味を発揮できるようになってきました」と富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)もその変化を実感します。

 富樫選手自身もキャプテンとして引っ張り、チームに好影響を与えた一人です。今夏の代表活動を終え、「トムさんのバスケットが完全に理解できた時間になりました」と言い、はじめて長い期間練習できたことで手応えを感じています。「みんなもやりやすいと思ってプレーできていると思います。試合中のプレー精度と、状況によってアジャストしていかなければならないところはありますが、これからも良いコミュニケーションを取って課題をクリアしていきたいです」と話し、さらなるステップアップを目指します。



 カザフスタン戦は8点を挙げ、7本のリバウンドを記録し、攻守に渡って活躍を見せた比江島慎選手(宇都宮ブレックス)。相手のディフェンスを壊すドライブで本領発揮。昨年11月に出場したWindow1の中国戦での自身のプレーを比較し、「持ち味を出せたし、日本のためになるドライブもできました。それを続けて行けば、今後も代表に選ばれるチャンスはあると思っています」と自信を見せます。FIBAアジアカップ戦後、渡邊選手は「これからの代表選考が大変になります。誰も確定している選手はおらず、ベテランもうかうかしていられません」と述べ、その競争こそ求めていた姿です。

 比江島選手も「確定しているとは思っていませんし、トムさんが求める3ポイントシュートの確率を上げることは今後の課題です。練習から激しくプレーしていかなければ、世界には通用しないことも分かっており、もっともっと高めていかなければなりません。でも、インテンシティ高く、競争力も高く良い状態にあります。成長できていることも感じており、今後も継続していきたいです」という比江島選手もチームの前向きな変化を感じていました。



 「FIBAワールドカップ2023 」まで、あと1年を切っています。アジア1位の成績をおさめ、パリ2024オリンピックへの出場権獲得、そしてベスト8進出が目標です。1戦1戦成長するとともに、「当たり前ですが、彼中心のチームになる」という富樫選手だけではなく、日本全体が八村塁選手(ワシントン・ウィザーズ)の復帰を待ち焦がれていることでしょう。「今後、合流した時には早くチームのシステムを理解させ、その中で塁が生きるようにしなければいけないです。時間のない不安よりも早く彼が合流して試合できる楽しみの方が大きいです」と富樫選手は続け、世界と勝負できる最高のチームづくりに向け、一人ひとりのレベルアップが大切です。

 FIBAワールドカップ アジア地区予選も、あと4試合を残すのみ。「昨年11月のWindow1で中国に負けたときは不安でしたが、今は先へ進む道が良く見えています。若い選手も見つかり、コアメンバーはまだ決まっていないですが、分かりはじめてきています。今後は候補選手を少し絞り込み、FIBAワールドカップを視野に入れたレベルアップをしていきたいです。塁や雄太らNBA選手がいて、今は馬場もおり、思っていた以上にチームは向上しています」とホーバスヘッドコーチは言及し、世界へ挑戦するカウントダウンがはじまりました。