FIBAアジアカップを戦い終えてーー「とにかく楽しくてしょうがなかったです」渡邊雄太選手
「FIBAアジアカップ2022(以下アジアカップ)」を戦い終えた男子日本代表は帰国の途につきました。予選ラウンド1位突破し、その勢いに乗って優勝を目標に掲げていましたが、残念ながら結果はベスト8。結果がすべての日本代表ですが、トム・ホーバスヘッドコーチも選手たちも5試合を通じて、成長と成果を感じられる大会となりました。
ホーバスヘッドコーチは「全員がオプション1」と言及し、誰でもどこからでも得点を狙います。これまでの合宿中から「とにかく打って」と、ゴールを目指す積極性も求めてきました。しかし当初は、特にインサイドプレーヤーから「Bリーグの戦い方とは違う」という声が聞かれています。今大会中、イラン戦で1本しかシュートを放たなかった吉井裕鷹選手(アルバルク東京)は、「まだ迷っていることが多く、もっと積極的にゴールへ向かって行くところとパスを回すところをしっかり判断していかなければならないです」とシュートに対して躊躇していました。
次のフィリピン戦は、「まだ若いから波がありすぎる」とホーバスヘッドコーチは先発から外し、代わって須田侑太郎選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)を起用。平均7.6本のシュートを放ち、12.4点で自らをアピールする大会となりました。しかし、吉井選手に対しても、「ヘッドダウンせず、落ち着いてプレーするようになって良い仕事をしてくれました」とホーバスヘッドコーチは評価します。フィリピン戦とオーストラリア戦ではいずれも7点を挙げ、オフェンスでの積極性が戻るとともに、体を張ったディフェンスは日本代表に欠かせない存在感を示しました。
6月6日にスタートしたディベッロプメントキャンプから数え、約1ヶ月半ともに過ごしてきた選手は5人。吉井選手、テーブス海選手(滋賀レイクス)、井上宗一郎選手(サンロッカーズ渋谷)、富永啓生選手(ネブラスカ大学)、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)は、今大会でも成長を見せてくれた新戦力&若手選手たちです。チームを勢いづけた富永選手と河村選手の21歳コンビ。「2人のリズムや速いペースは常に相手にプレッシャーをかけてくれました」とホーバスヘッドコーチも目を細めます。188cmの身長を生かしたポイントガードのテーブス選手は、攻守に渡ってハードに戦いました。平均14.1分の出場機会を与えられ、6.2点を挙げた井上選手は「ストレッチフォーとしてシューティングが落ち着き、リバウンドもできるので今後が楽しみです」とホーバスヘッドコーチが期待を寄せる2mです。
Bリーグではオプション1はもちろん、オプション3までが外国籍選手となるチームが多く、彼らが得点源となります。しかし、日本人選手だけで構成されるこのチームでは、全員がゴールを狙わねば得点につなげることが難しくなります。ホーバスヘッドコーチは常に選手たちに自信を植え付け、外れてもまずはシュートを狙うことを意識づけしてきました。逆に、アメリカで活躍する富永選手のようにどんどん打つタイプに対し、富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)は「そもそもシュートを打つこと自体がひとつのスキル」と賞賛します。NBAでプレーする渡邊雄太選手はBリーグでの役割を尊重しつつ、「日本代表でやるべきことにアジャストするにはどうしても時間がかかるものです」と言い、自身も久しぶりのオプション1に対応する日々でした。それでも日本代表を強くするために、「チャンスがあればどんどん積極的にゴールにアタックしたり、シュートを打っていって欲しいとは思います」と言い、どこからでもシュートを狙える分厚いチームを目指します。
ディフェンスに関しても敗れたイラン戦の反省を経て、なかなかファウルが取られないフィリピン戦は相手に屈せずに体をぶつけ続け、勝利をもぎ取りました。オーストラリア戦を終え、張本天傑選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)は、ディフェンスのきっかけをつかんだようです。
「この大会を通して感じたのは、相手のビッグマンをいかにペイント内に入らせないディフェンスすることが大切ということです。ペイントから一歩出れば、シュート確率も落ちます。相手のダイブをなるべく早く、ペイントの外で止めることを意識していました。そこから先に進むためのスキルがあまりないことも実感していたので、そのディフェンスは自信もあります。1on1にしても、日本には相手を止める脚力があります」
全てのポジションで身長差が生じる日本ですが、しっかりと体を当て、ひとりではなくチームで守り切った場面が増えてきました。
アジア・オセアニアの強豪が一堂に会し、チャンピオンを決める今大会で様々なスタイルとの対戦経験により、日本代表は確実にステップアップしました。ここをスタンダードとし、今後も続く戦いで一つひとつ結果を求めていくだけです。渡邊選手が加わったことも、スタンダードが上がった要因です。同じく、今大会から加わった富樫選手もインパクトを与え、同じポジションの河村選手にとっても充実した日々となりました。
「練習中から良い刺激を受けていました。オーストラリア戦やイラン戦、フィリピン戦もそうでしたが、本当に大事な場面で要所要所に決めた3ポイントシュートであったり、ゲームマネジメントであったり、ずっと日本代表として戦ってきた経験や力がベンチから見ていても感じられました。富樫さんとは違う自分の良さがあり、まだ役割もあるのでそこを伸ばしつつ、富樫選手に少しでも近づきたいと思います」
東京2020オリンピック以来の日本代表活動に参加した渡邉選手は平均22.2分出場し、チームハイの15.3点で引っ張ってくれました。フィリピン戦で負傷し、最後までコートに立つことはできませんでしたが、「楽しくてしょうがなかったです」と今大会をこう締めくくりました。
「バスケ選手である以上は、試合に出たいのは当然です。今年1月に新型コロナにかかってからほとんど試合に出られなくなり、バスケ選手としてはそれの方がしんどかったです。今回、日本代表に参加し、新しいチームメイトやコーチと一緒に、また全然違う環境の中でのアジャストは簡単ではなかったですが、とにかく楽しくてしょうがなかったです。啓生や河村など20代前半のうちからオーストラリアのような素晴らしいチームと対戦できる経験は、絶対今後に生きてきます。彼らだけではなく、西田なんてこの合宿に参加するまでは知らない選手でしたが、今回一緒にやってみてかなり良い選手ということが分かりました。他にも、吉井はいつもファイトしており、宗一郎も身長があってあれだけシュートが打てるならばすごい武器になります。他の選手たちも、良いところが見られたことが本当に多かったので、これから代表選考が大変になってくると感じました。ベテラン選手もうかうかしてられないですし、誰も確定している選手はもういないと思っています。これからの日本代表が楽しみです」
ホーバスヘッドコーチは「全員がオプション1」と言及し、誰でもどこからでも得点を狙います。これまでの合宿中から「とにかく打って」と、ゴールを目指す積極性も求めてきました。しかし当初は、特にインサイドプレーヤーから「Bリーグの戦い方とは違う」という声が聞かれています。今大会中、イラン戦で1本しかシュートを放たなかった吉井裕鷹選手(アルバルク東京)は、「まだ迷っていることが多く、もっと積極的にゴールへ向かって行くところとパスを回すところをしっかり判断していかなければならないです」とシュートに対して躊躇していました。
次のフィリピン戦は、「まだ若いから波がありすぎる」とホーバスヘッドコーチは先発から外し、代わって須田侑太郎選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)を起用。平均7.6本のシュートを放ち、12.4点で自らをアピールする大会となりました。しかし、吉井選手に対しても、「ヘッドダウンせず、落ち着いてプレーするようになって良い仕事をしてくれました」とホーバスヘッドコーチは評価します。フィリピン戦とオーストラリア戦ではいずれも7点を挙げ、オフェンスでの積極性が戻るとともに、体を張ったディフェンスは日本代表に欠かせない存在感を示しました。
6月6日にスタートしたディベッロプメントキャンプから数え、約1ヶ月半ともに過ごしてきた選手は5人。吉井選手、テーブス海選手(滋賀レイクス)、井上宗一郎選手(サンロッカーズ渋谷)、富永啓生選手(ネブラスカ大学)、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)は、今大会でも成長を見せてくれた新戦力&若手選手たちです。チームを勢いづけた富永選手と河村選手の21歳コンビ。「2人のリズムや速いペースは常に相手にプレッシャーをかけてくれました」とホーバスヘッドコーチも目を細めます。188cmの身長を生かしたポイントガードのテーブス選手は、攻守に渡ってハードに戦いました。平均14.1分の出場機会を与えられ、6.2点を挙げた井上選手は「ストレッチフォーとしてシューティングが落ち着き、リバウンドもできるので今後が楽しみです」とホーバスヘッドコーチが期待を寄せる2mです。
Bリーグではオプション1はもちろん、オプション3までが外国籍選手となるチームが多く、彼らが得点源となります。しかし、日本人選手だけで構成されるこのチームでは、全員がゴールを狙わねば得点につなげることが難しくなります。ホーバスヘッドコーチは常に選手たちに自信を植え付け、外れてもまずはシュートを狙うことを意識づけしてきました。逆に、アメリカで活躍する富永選手のようにどんどん打つタイプに対し、富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)は「そもそもシュートを打つこと自体がひとつのスキル」と賞賛します。NBAでプレーする渡邊雄太選手はBリーグでの役割を尊重しつつ、「日本代表でやるべきことにアジャストするにはどうしても時間がかかるものです」と言い、自身も久しぶりのオプション1に対応する日々でした。それでも日本代表を強くするために、「チャンスがあればどんどん積極的にゴールにアタックしたり、シュートを打っていって欲しいとは思います」と言い、どこからでもシュートを狙える分厚いチームを目指します。
ディフェンスに関しても敗れたイラン戦の反省を経て、なかなかファウルが取られないフィリピン戦は相手に屈せずに体をぶつけ続け、勝利をもぎ取りました。オーストラリア戦を終え、張本天傑選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)は、ディフェンスのきっかけをつかんだようです。
「この大会を通して感じたのは、相手のビッグマンをいかにペイント内に入らせないディフェンスすることが大切ということです。ペイントから一歩出れば、シュート確率も落ちます。相手のダイブをなるべく早く、ペイントの外で止めることを意識していました。そこから先に進むためのスキルがあまりないことも実感していたので、そのディフェンスは自信もあります。1on1にしても、日本には相手を止める脚力があります」
全てのポジションで身長差が生じる日本ですが、しっかりと体を当て、ひとりではなくチームで守り切った場面が増えてきました。
アジア・オセアニアの強豪が一堂に会し、チャンピオンを決める今大会で様々なスタイルとの対戦経験により、日本代表は確実にステップアップしました。ここをスタンダードとし、今後も続く戦いで一つひとつ結果を求めていくだけです。渡邊選手が加わったことも、スタンダードが上がった要因です。同じく、今大会から加わった富樫選手もインパクトを与え、同じポジションの河村選手にとっても充実した日々となりました。
「練習中から良い刺激を受けていました。オーストラリア戦やイラン戦、フィリピン戦もそうでしたが、本当に大事な場面で要所要所に決めた3ポイントシュートであったり、ゲームマネジメントであったり、ずっと日本代表として戦ってきた経験や力がベンチから見ていても感じられました。富樫さんとは違う自分の良さがあり、まだ役割もあるのでそこを伸ばしつつ、富樫選手に少しでも近づきたいと思います」
東京2020オリンピック以来の日本代表活動に参加した渡邉選手は平均22.2分出場し、チームハイの15.3点で引っ張ってくれました。フィリピン戦で負傷し、最後までコートに立つことはできませんでしたが、「楽しくてしょうがなかったです」と今大会をこう締めくくりました。
「バスケ選手である以上は、試合に出たいのは当然です。今年1月に新型コロナにかかってからほとんど試合に出られなくなり、バスケ選手としてはそれの方がしんどかったです。今回、日本代表に参加し、新しいチームメイトやコーチと一緒に、また全然違う環境の中でのアジャストは簡単ではなかったですが、とにかく楽しくてしょうがなかったです。啓生や河村など20代前半のうちからオーストラリアのような素晴らしいチームと対戦できる経験は、絶対今後に生きてきます。彼らだけではなく、西田なんてこの合宿に参加するまでは知らない選手でしたが、今回一緒にやってみてかなり良い選手ということが分かりました。他にも、吉井はいつもファイトしており、宗一郎も身長があってあれだけシュートが打てるならばすごい武器になります。他の選手たちも、良いところが見られたことが本当に多かったので、これから代表選考が大変になってくると感じました。ベテラン選手もうかうかしてられないですし、誰も確定している選手はもういないと思っています。これからの日本代表が楽しみです」