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【3x3AC2022 / 現地レポート】男女ともに 3×3 アジアカップの決勝 T 進出が決定。予選Rdを 2 連勝で勝ち抜く
【男女そろって予選ラウンドで2連勝】

FIBA3×3アジアカップは7月8日(金)、大会3日目を迎えました。3×3男女日本代表チームは本戦の予選ラウンドへ臨み、そろって2連勝を達成。二日間の調整を経て初戦を迎えた女子は、インドネシアを17-15で破り、開催国・シンガポールに対しては11-3で勝利を収めました。一方、予備予選を突破した男子はウズベキスタンを21-11、チャイニーズ・タイペイを21-12で撃破し、大会期間中の連勝を4に更新。男女ともに最終日10日(日)に開催されるノックアウト方式の決勝トーナメントへ駒を進めました。

もちろん、本戦予選ラウンドはレベルが一段上がる戦いとなり、やはり一筋縄ではいきませんでした。それでもチームで我慢や修正を重ね、4人が結束したことで、目標のメダル獲得へまた一歩、前進しました。

【苦しい試合を制した女子】

女子の布陣は6月のワールドカップに出場した#32永田萌絵選手(デンソーアイリス)、#33中田珠未選手(ENEOSサンフラワーズ)の2人に、年齢制限のないFIBA3×3の公式国際大会において日本代表チームへ初選出された#6今野紀花選手(ルイビル大学)、#31窪田真優(桐蔭横浜大学)の4人です。

1試合目のシンガポール戦では、序盤から相手に2ポイントシュートを許し、オフェンスファウルを犯すなどリズムに乗れない展開から始まりました。それでも初選出された今野選手の得点で食らいつき、中盤以降は同じく初選出の窪田選手が逆転の流れを呼び込みます。リードを奪った女子は中田選手、永田選手がリバウンド争いなど球際で戦い、最後は逃げ切って勝利しました。
続く2試合目のシンガポール戦では、序盤からスピードを活かしたドライブを軸に攻め込みますが、シュートを決め切れず、ホームの大歓声を受けたシンガポールを前にロースコアゲームとなります。「もどかしい」(永田選手)、「とてもとても苦しい」(中田選手)試合になりましたが、終盤以降は、窪田選手らのアタックが決まるなど、個々の強みをいかして勝利を収めました。



今大会はワールドカップで女子をけん引した山本麻衣選手、馬瓜ステファニー選手が抜け、今野選手と窪田選手が加わったため、4人で臨む初めての試合でした。チーム仲は良いものの、公式戦となれば慣れないこともあったようです。インドネシア戦後、中田選手は「息が上がり、周りの音楽も大きい中、コート内外であまり自分たちでコミュニケーションを取ることができず、主導権を握られた時間が多くなってしまった」と明かします。

それでも試合で出た課題を着実に修正し、自分たちの強みを出し続ける強さが彼女たちにはあります。2戦目のシンガポール戦では、シュートがリングに嫌われたり、アウェーの雰囲気にさらされたりしても、終始ディフェンスで圧力をかけ続けて、相手のペースにはさせませんでした。我慢の末に失点をわずか3点に封じ、得点は試合後半に6点を積み上げました。

窪田選手は攻守に初戦の反省を活かせたとし、「ディフェンスもタフに(プレッシャーをかけ続けることが)できていましたし、オフェンスも自分たちのやりたいプレーができていました。(シュートが)最後に(リングに)嫌われる場面も多かったですが、アタックすることは忘れないでやり続けようと、4人で声を掛けていたので、それを辞めなかった結果(試合の)終盤に得点が入りだし、勝ちにつながったと思います」とコメント。中田選手も残り3分台のTVタイムアウトで、予選ラウンド前に決めた「攻め気を忘れずにディフェンスで相手のエラーを起こして、簡単に点を取ろう」というプランをあらためてチームへ伝えたことが、終盤の良い流れにつながったと言いました。



【ペースをコントロールし男子も負け無し】

一方で男子も予選ラウンドの初戦で勝利を収めた中で、課題が出ました。ペース配分です。ウズベキスタン戦では、序盤から#0佐土原遼選手(広島ドラゴンフライズ)や#23保岡龍斗選手(秋田ノーザンハピネッツ/SAITAMAALPHAS)がドライブで相手をこじあけ、#91落合知也選手(越谷アルファーズ/ALPHAS.EXE)と#70小松昌弘選手(TOKYODIME.EXE)によるコンビネーションによる得点、さらにはディフェンスも高い集中力を保って、残り5分で14-3と大差をつけましたが、それ以降足が止まりました。

KO勝ちこそしましたが、落合選手は「疲労が溜まると、それによってオフェンスのリズムがワンテンポ、ツーテンポ遅くなり、良くないシュートやタフな1対1で終わってしまいます。そうすると相手のシュートが決まり出して、リズムが悪くなる。3×3はリズムが大事なので、それを10分間、いかに持続できるかが強いチームとの差です。今の試合は内容に満足していません」と言及しました。



そして迎えたチャイニーズ・タイペイ戦。予備予選から数えて4戦目となりましたが、彼らは再び立ち上がりからリードを奪います。中盤にはファウルがかさみましたが、コントロールし、ディフェンスを機能させて、4戦連続のKO勝ちを飾りました。テンポよくパスを回すなどし、得点は佐土原選手が4点、保岡選手が8点、小松選手が3点、落合選手が6点と、得点が分散している結果からも良いオフェンスができたと言えるでしょう。

試合後、ハドルで落合選手は「今のペースはすごい良かった!」とチームメートに声を掛けます。そしてミックスゾーンで「僕らはペースアップをするチームですが(この試合では)ペースダウンをしてゲームをコントロールしたことで、全員がバテないでゲームを支配できたと思います。ペースをテーマにやりました」と明かしました。彼がミスマッチをついてポストアップする場面もありましたが、それもペースをコントロールする一環だと言います。

また、ファウルコントロールの視点で見ると、ワールドカップからの転戦も生きているようです。試合後のハドルで、担当レフェリーが笛を吹いたプレーや、吹かなかったプレーを選手たちはお互い指摘し合い、どうやったらファウルを回避できるのかまで話が及びました。もちろん選手たちは練習等でジャッジの基準を把握し、アジアカップ前にも対策をしていますが、やはり試合で体感してこそ得られるものも多いはずです。チャイニーズ・タイペイ戦は、チームがステップアップしたと言っていいでしょう。

【決戦は10日……決勝トーナメントに向けた意識】

しかし、金メダル獲得はまだ道半ば。最終日の10日に行われる決勝トーナメントはさらに試合のレベルが上がります。女子はスリランカと、男子は先のワールドカップベスト16のニュージーランドと準々決勝で対戦します。
女子は新たなチームであるため、まずは試合で出た問題をその都度どれだけ潰せて、次戦につなげられるか。今野選手はいまの課題について「ディフェンスでは決勝トーナメントで強度をさらに上げていく必要があると思います。また同時に、オフェンスでは相手のディフェンスも強度が上がってくるので、しっかりスクリーンかける場面や、スクリーンをかけに行くまでのスピードなどをもっとハッキリしないとなかなか攻めきれない印象です。そこまで考えてやっていきたい」と話します。

そして、コーチ陣が言う「選手たちは個人の良い特徴があるので、それを活かせるようにお互いが、お互いの長所を理解してプレーしよう」という意識をさらに深めていくことが期待されます。



   男子は予備予選、予選ラウンドと少しずつチームが仕上がってきました。もちろん、まだまだ発展途上ではありますが、ディフェンスにフォーカスして戦うことはもちろん、ゲームのペースコントロール、ファウルへのアジャストなど、選手たちが同じ意識でプレーできるようになってきました。来たるニュージーランドは高さがあり、フィジカルのある選手がそろう難敵です。

それでも落合選手は「相手をリスペクトしたうえで、僕たちがやることをやれば必ず勝てる。そこをしっかりと日本の皆さんに見せたいと思います」と自信を見せます。加わえて、手応えをつかんだチャイニーズ・タイペイ戦後、佐土原選手からも「自分たちがやるべきことをやっていたので、途中競った時間帯もありましたが、負ける気は全然しませんでした」と頼もしい言葉がありました。チームの誰もがいまの戦い方を信じています。

本日9日は休養日。リフレッシュと万全の対策を立て、3×3男女日本代表チームは明日、決戦トーナメントに挑みます。