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【Jr.ウインターカップ2021-22 現地レポート】大会と “同年齢” クラブの価値ある敗北
「オリンピックは参加することに意義がある」という言葉があるが、これはその舞台に立ちさえすればよい、という意味ではない。大舞台でも力を発揮しようと努め、たとえ思うような結果ではなかったとしても、何かを得られれば、それは意義のあるものだという意味である。その視点で言えば、「Jr.ウインターカップ2021-22 2021年度 第2回全国 U15 バスケットボール選手権大会」に初出場したSwish (沖縄) も、今大会は意義のあるものになったに違いない。

女子3回戦、Swish は大阪薫英女学院中学校 (大阪) に38-54で敗れた。指揮を執る平良監司郎アシスタントコーチが振り返る。 「ウチのほうが高さもあり、制空権を取れるかなと思っていたのですが、薫英さんのインサイドの守り方がうまくて、私たちのやりたいことができませんでした」

その言葉どおり、Swishは178センチの#5 角田絆奈や、169センチながら体を張ったプレーでチームに貢献する#31 田原実季など、サイズでは大阪薫英女学院中学をやや上回っていた。しかし大阪薫英女学院中学の足を動かしたディフェンスに思うようなバスケットが展開できない。それは30個というターンオーバーの数にも如実に表われている。
ただ、それさえも Swish にとっては大きな財産になると平良アシスタントコーチは認める。
「沖縄であれだけのプレッシャーを掛けるチームはなかなかないので、私たちとしても次の世代に伝えられることがたくさんあるのかなと感じています。ここがスタンダードになって、全国はこのスタンダードじゃないと私たちのバスケットボールは通用しないよと。そこは今、沖縄が全国大会で上位に上がれない理由のひとつだと思っているので、次につながる契機になったと思います」



Swish は、那覇市や沖縄市など沖縄県の中南部を拠点としており、これまでになかった女子のクラブチームを立ち上げることで、女子中学生の選択肢のひとつにしてもらおうと平良アシスタントコーチらが立ち上げた。
ただし注力するのは、あくまでも育成である。次のステージにどのようにつなげるか。実際、上記の2人以外の160センチ台前半の選手たちも積極的にペイントエリア内に飛び込み、一方でサイズのある選手たちも3ポイントシュートを打っている。
それだけではない。
「沖縄のバスケットは、今まではどちらかといえば1対1が主体でした。でもウチはどちらかというと、パッシングからの、オフボールを動かしたバスケットをと意識して、そこに1オン1を生かしていこうというバスケットをしています。3ポイントシュートも、沖縄の子たちは、どちらかというと少なかったけれども、3ポイントシュートも打ちましょう。ドライブも行きましょう。ただ、そのドライブも、どこにギャップがあるのか、どのようにしたらフロアバランスが取れるかを常に意識させながら、バスケットをさせています」
沖縄らしさを残しつつ、それだけに固執しない、幅の広いバスケットに触れることで、よりよい選手を育成しようと考えているわけだ。

最後は完敗に終わったが、全国の舞台で貴重な一歩を踏み出し、そのスタンダードを知れたことは意義のある敗戦だったと言っていい。
ジュニアウインターカップと同じ “年” の沖縄のクラブチームが、どのような成長を遂げていくのか。そのステップアップに注目したい。