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【SoftBank ウインターカップ2021 現地レポート】桐生第一が若き指揮官とともに貫いた “全力で楽しむ” 姿勢
群馬県2位通過で、7年ぶり3回目のウインターカップ出場を果たした桐生第一。現役生にとってはもちろん、就任4年目・27歳の岡田研司コーチにとっても初めての全国舞台だ。大会前に掲げた目標はベスト16進出。しかし結果的には2回戦で西海学園(長崎)に90–98で競り負け、目標にはあと一歩届かなかった。

ただ、何度も離されそうになりながらも、そのたびに運動量あるディフェンスからスピーディーな展開に持ち込み、相手を最後まで苦しめた。その戦いぶりを岡田コーチも「高さではどうしても相手のほうに分があるので、こちらの足が止まってしまったら同じ土俵に立てない。離されそうなところで自分たちでエナジーを入れ直し、点差を詰められたことに関しては選手たちを尊敬しますし、すばらしい試合だったと思います」と手放しにたたえる。



27歳の岡田コーチは、男子出場チームの中では今大会最年少の指揮官だ。学生時代は日本大でマネージャーを務め、社会科の教員となって4年前から桐生第一を率いるようになった。今年の3年生は、初めて自身がリクルートに関わった代であり、下級生の頃から主力として経験を積ませてきた学年。一つの集大成を迎えた今年、見事に全国大会2回戦進出を果たし、「正直、こんなに早くこの舞台に来られるとは予想外でした。まだまだ勉強不足なところもある中で、本当に選手たちには感謝しかありません。3年生は上背も身体能力もそこまでない子たちでしたが、1年生の頃から地道に頑張って、高さをどう克服するか3年間追い求めてくれた代。本当に真面目で自主練習もすごくしますし、自分たちでアイディアを出し合ってこちらが言ったこと以上のことをやってくれる選手たちでした」と語る。

そんな選手たちと一緒に、岡田コーチが大事にしてきたのは「バスケットボールを楽しむこと」だ。そこには「部活動において “楽しむ” にもいろいろな考えがあると思いますが、ふざけるとかニヤニヤするとかではなく、僕が思う “楽しむ” は全力でバスケットと向き合うこと。高校で競技を終える選手もいますし、必ず『バスケットが好き』という気持ちで卒業してほしい」という思いがある。「今日の試合は、全力で楽しむことを選手たちがコートで体現してくれました。今の 3 年生は間違いなく、バスケットが大好きな状態で卒業すると思います」と岡田コーチ。



チームに浸透したそうしたフィロソフィーは、この試合、38得点を挙げたエース#7 髙木涼の言葉からもうかがえた。

「このメンバーでやってきた3年間は楽しくてあっという間で、一生の宝ものです。自分は大学でもバスケットを続けますが、高校でバスケ人生を終える仲間も多くいて、その人たちから『お前とやれて良かったよ』とか『お前と同じチームだったんだって言えるくらい、大学で有名になってくれ』と言われます。何のためにバスケットを頑張るかといったら、もちろん自分や親のためもそうですけど、高校でバスケット人生を終えるチームメイトのためでもある。彼らの思いも背負って、この先のステージでも頑張りたいです」

若き指揮官と選手たちが一枚岩となり、バスケットを全力で楽しみながら全国舞台に挑んだ桐生第一。卒業後も競技を続けるか否かにかかわらず、バスケット愛に満ちた3年生たちは、高校での学びを胸にそれぞれ新たなスタートを切った。