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【SoftBank ウインターカップ2021 現地レポート】浜松開誠館の男子が踏み出した “偉大なる一歩”
偶然なのか、必然か。アイシンシーホース(現・シーホース三河)からは素晴らしいコーチが生まれている。
B.LEAGUE には今なおその礎を築いた鈴木貴美一コーチがいて、今シーズンからレバンガ北海道を率いているのは “ミスターバスケットボール”、佐古賢一コーチである。大学界には佐藤信長コーチ(東洋大学)がいて、今年度のインカレを制した白鷗大学の網野友雄コーチもアイシンでプレーしていた。高校では岡山商科大学附属の納谷幸二コーチがいて、前橋育英の加賀谷寿コーチもアイシンで鈴木コーチのアシスタントを務めた。そして、またひとり――。

「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2021)」に、浜松開誠館の男子バスケット部を初出場に導いたのは後藤正規コーチである。
日本体育大学から三菱電機に進み、NKKを経て、アイシンに辿り着いた孤高のシューター。現役引退後に指導者へと転身し、10年前に同校のコーチに就任した。男子チームは創部10年というから、後藤コーチは立ち上げから関わっているわけだ。



果たしてウインターカップ2021の男子1回戦、羽黒と対戦した浜松開誠館は109-90で勝利した。インターハイも含めた全国大会初出場にして、初勝利。そのゲームを後藤コーチはこう振り返る。
「オフェンスは合格といっていいでしょう。しかし後半のディフェンスがすごく気になります。もうちょっとタフに、フィジカルにできれば、もうちょっと失点を抑えられたと思います。オフェンスにエネルギーを使っている分、ディフェンスの足がついてこなくなってしまいました」
全国初勝利にも浮かれる感じは微塵もない。むしろ現役時代の彼そのもののようにも感じるが、一方でどこか物腰の柔らかさも感じさせるのは、人生の年輪だろうか。

その一部であるアイシンでの日々も、今の後藤コーチのコーチングに息づいている。アイシンで学んだこととして、彼はこう言っている。
「ひとつは、バスケと離れますけど、仲間の大切さ。やはりバスケットはひとりでできませんから。もうひとつは違いを認めることです。けっして自分と同じではない違いを認める。私は練習するタイプでしたけど、練習しなくても試合で結果を出す選手がいれば、それはそれで信用して認めてあげないといけません。それを否定してはいけないのです」



2000年代初頭、個性派揃いのアイシンが何度も日本一になったのは、違いを認め合える仲間たちがいたからだ。それを今、後藤コーチは、自分がアイシンでプレーしていた頃に生まれた浜選手たちにも伝えている。

チームの最終的な目標は日本一だという。
「ハードルは高いですけど、目指す価値があると思っています。そうした勝つことの難しさも含めて、私が伝えられるものはすべて、生徒たちに伝えていきたいです」

千里の道も一歩から。
日本一への道もまた、この一勝から――
踏み出した一歩は偉大である。