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【SoftBank ウインターカップ2021 現地レポート】鮮明な記憶とともに未来へつながるウインターカップ初出場
 どんなことであっても「初」というのは鮮明に記憶に残るものだ。

「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子1回戦で高知県代表の明徳義塾と対戦した豊田大谷は、愛知県3位で初のウインターカップを戦った。

 予選では初戦の愛知工業大学名電戦で1点差(58-57)、準々決勝の岡崎学園戦にも勝利(76-67)。準決勝で中部大第一に敗れたものの、3位決定戦では安城学園を3点差(75-72)で振り切り、清水淳コーチの言葉を借りるならば、「ミラクル」で本戦への挑戦権を勝ち取った。

 チャレンジャーとして臨んだ全国初戦。立ち上がりから204cmの相手センター ヒシグバータル・オーギルの高さに対応しつつ、センターの奥村サトシを起点に、2年生ガードの舘田拳斗や藤島隼大の3ポイントシュートなど点を積み上げ、前半を終えて40-46と食らいついた。



 豊田大谷にとってはスコアリングリーダーである平山竣介が大会直前に肉離れを起こし、本調子にはほど遠かったことが痛かったが、エースの不調をカバーすべく、チーム全体で見事なバスケットを展開。そんな仲間の姿に平山は「自分はケガで全然練習に参加できていなくて、ぶっつけ本番のような試合でした。当然、プレーがうまくいきませんでしたが、チームメイトが決めてくれた3ポイントを見て鼓舞されて、結果的に後半は自分のプレーができたと思います。ベンチにいるときにルーズボールなどを見たとき、『自分だけじゃない。みんながいてチームがあって、その中に自分がいる』ということに改めて気づけました」と、頼もしさを感じ取っていた。

 後半に入っても8点差前後で推移する時間帯が続いたが、徐々にギアを上げてきた平山のドライブや奥村のインサイドで突破口を開くと、4クォーター序盤には平山からパスを受けた藤島が速攻からレイアップを沈めてついに逆転した。

 しかし、経験に勝る明徳義塾もエースの福島魁が 3 ポイントで差を詰めると、岸本稜平と原英喜も3ポイントで続き、再逆転。ゲームクロージングの部分で思うようなプレーができなかった豊田大谷は、最終的には9点差(81-90)をつけられ無念の1回戦敗退となってしまった。



 それでも、舘田が「楽しんでやるのが自分たちのモットーで、ワクワクしながらプレーしてみんなで楽しむこと。予選からそれで勝ち上がってきたので、それをウインターカップでもやろうと思っていました」と語るように、初めてのウインターカップをチーム全員で楽しんでいた。3年生はここで引退となるが、スタメンのうち2人は2年生。そのうちの一人である舘田は大会をこう締めくくった。

「いざ試合となると場の雰囲気にのまれてしまって、シュートも全然入らなくて、『ウインターカップってすごいな』と改めて感じました。それでも、この体育館でプレーができたことは本当に大きな財産だと思います。3年生が抜けるとサイズが小さくなりますが、またここに戻って来られるように練習から声を出して頑張っていきたい」

 初めてのウインターカップは、これから先も選手それぞれの記憶に鮮明に残るはず。そして、この経験は舘田の言葉のように次の世代に確実にバトンタッチされた。