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【第88回皇后杯準々決勝レポート/ ENEOS vs. シャンソン化粧品】敗れてもなお美しく
これまで皇后杯の決勝戦で17回も戦っているライバル同士の対戦は、ENEOSサンフラワーズに軍配が上がった。

皇后杯ファイナルラウンド1日目、ENEOSと対戦したのはシャンソン化粧品シャンソンVマジック。過去10度、皇后杯を手中にしている彼女たちだが、最後のそれから22大会も遠ざかっている。それどころか、ファイナルラウンドに出場するのも3大会ぶり。苦しい時期を乗り越え、彼女たちはファイナルラウンドに戻ってきたのである。

しかし結果は上記のとおり、エネオスに64-92で敗れている。ケガ人が続出しているとはいえ、シャンソン化粧品を率いる李玉慈ヘッドコーチも完敗を認める。
「チームの持ち味が一つも出せていませんでした。全員で戦える時期になれば、また変わってくると思います」
ルーキー#45佐藤由璃果らの活躍に希望を見出すとしても、いまの指揮官としては時を待つしかないところなのだろう。



一方で選手たちは、第2クォーターにディフェンスからファストブレイクに転じる自分たちのバスケットができたことを、こちらもわずかばかりではあるが、収穫に挙げている。
「大差で負けましたが、第2クォーターには自分たちのディフェンスから走るバスケットはできました。ただそれを40分やり通すことができなくて、相手に3ポイントシュートを打たれ始めたあたりからリズムを奪われたことが敗因です」
そう振り返るのはキャプテンの#1 小池遥である。その言葉どおり、序盤に大きなビハインドを背負いながら第2クォーターに怒濤の反撃を見せて、前半が終わるときには6点差にまで迫っている。後半に入っても、立ち上がりこそ粘り強くついていった。結果として、結局そのあとに失速していくのだが、粘り強く戦った姿勢はWリーグの後半戦にもつながる。

キャプテンを務める小池にとっては、自身が入団したシーズン以来の皇后杯ファイナルラウンドである。
「今年はワクワクしながらコートに立ちました。1年目よりもゲームに対する気持ちのもっていき方や、チームを引っ張っていかなければいけないというモチベーションでやれています。3大会ぶりのファイナルラウンドですが、そのあたりは成長できているかなと思います」
完敗のなかにも、目を凝らせば、キラリと光るものは見つかるものだ。

世界的なサッカープレーヤーだったヨハン・クライフは「勝利は貪欲に、少々汚くても構わないが、敗れるときは美しく」という言葉を残している。そして、シャンソン化粧品のように美を追い求めたココ・シャネルは「美しさは、あなたがあなたらしくいると決めたときに始まる」と言っている。

2つの言葉を掛け合わせると、美しく敗れるためには、自分たちらしさを見失ってはいけないということだろう。40分のうち、わずか10数分のことだったかもしれないが、シャンソン化粧品が彼女たちらしいバスケットを遂行できたことは、“美しい敗北” と言ってもいい。敗れてもなお、彼女たちは “美しさ” を求めていく。