NEWS

5人制男女日本代表 新ヘッドコーチ就任 所信表明
2024年パリオリンピック出場へ向け、新たに始動するAKATSUKI FIVE 日本代表は既報どおり、男女ともに新ヘッドコーチが就任しました。男子日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチ、女子日本代表の恩塚亨ヘッドコーチ(東京医療保健大学)の所信表明をご紹介します。

■男子日本代表:トム・ホーバスヘッドコーチ

男子日本代表:トム・ホーバスヘッドコーチ

男子日本代表ヘッドコーチに就任でき、とても感謝しています。長い間、女子チームに携わっていたので少しビックリしました。このような大きなチャレンジは本当に好きです。

オリンピックが終わってからいろいろと考えましたが、この選択がおもしろいと思いました。ご存じのとおり、私は熱い人ですし、コーチングスタイルは変わりません。でも、男子日本代表の方が練習時間は限られ、リーグ戦中にFIBAの国際大会もあります。そのためにも、練習のアジャストなどいろんなことをしなければなりませんが、それも楽しみですし、このようなチャレンジが好きです。

女子日本代表は、4年前にヘッドコーチになったときから金メダルの目標を掲げました。今回は、パリオリンピックに出場することですが、簡単には高い目標を言いません。4年前、女子日本代表の選手や他のチームの状況も良く分かっていました。女子日本代表のバスケを完成させれば、絶対に金メダルのチャンスがあると思っていました。しかし今回は、男子の選手たちとはこれから信頼関係を作っていくため、その差は大きいです。選手たちの気持ちや努力のレベル、信じる気持ちなどをこれからの練習中にしっかりと見ていきたいです。

11月にはFIBAワールドカップ アジア予選の中国との試合があり、他の国のことなどいろんな勉強をしなければなりません。そこから細かな目標を作ります。選手たちと信頼関係を作ることがまず大切です。八村塁選手と渡邊雄太選手とは、アメリカで直接会って話をしたいです。

オリンピックを経験して一番大きかったのは、選手たちが僕のことを信じ、逆に私も選手たちを信じてお互いに尊敬することです。そこは簡単に構築できないところですからこそ、しっかり話し合ってお互いを知る機会を作ることが大切です。

プレースタイルは女子日本代表とほぼ変わらず、ファストブレイクとスペーシングをベースにしながら、日本の得意な部分を使っていきたいです。3ポイントシュートや速さ、細かく徹底されたプレー、良いパッシングやカッティングをして、しっかり頭を使っていき、データを生かしたバスケットスタイルはオリンピックと同じです。

この4年間、フリオ・ラマスヘッドコーチとは友達になり、尊敬しています。これまで積み上げてくれた功績はすばらしいものでした。ここから上手くなることよりも、私のスタイルを加えることで、さらにレベルアップできると思っています。今後が本当に楽しみです。

Bリーグには良いシューターも、良いポイントガードも、若いビッグマンもいます。おもしろいバスケットができると思っています。また、渡邊選手と八村選手にとってもピッタリだという自信があります。ここからが楽しみです。ぜひ、応援してください。100%がんばります。

■女子日本代表:恩塚亨ヘッドコーチ

女子日本代表:恩塚亨ヘッドコーチ


 これまで素晴らしい選手やコーチ、スタッフの方々が築き上げてきた女子日本代表チームのバトンを受け継いで、ヘッドコーチに就任しました。私を信じて、大任を与えてくださった皆様の思いに応えるために、全力を傾ける決意です。これまでの代表チームや、バスケ界の皆様に深い敬意と感謝の気持ちを胸に抱いています。その気持ちを胸に、選手やチームの命を輝かせることを私の仕事の目的として職務に臨みたいと考えています。

JBAが掲げる「バスケで日本を元気に」という理念があります。この理念に基づいて、女子日本代表の目標と目的を考えました。

目標は「パリオリンピックで金メダルを獲得」し、皆様と喜びを分かち合いたいと思っています。そのために「世界一のアジリティ」を追求し、海外選手の身長の高さに対し、アジリティの高さで凌駕したいと考えています。アジリティとは、ネクストプレーの速さや適応力のことです。「原則の遂行」と「ワクワク」がそのカギとなります。瞬間瞬間の勝負で先手を取り、チームが躍動感を持ってシンクロするバスケを目指しています。

次に目的です。このチームの強化の肝は、目的の設定にあると考えています。その目的は「バスケ界に夢を残すこと」です。それは、私たちの挑戦を見た方々が「私もがんばりたい」と夢を抱けるようになることを意味しています。そのためにも、「バスケ界のロールモデルになりたい」と考えています。この挑戦が、選手たちが持つ本当に強い力を引き出せると私は信じています。自分のがんばりが誰かの夢につながるということを信じている人間の方が、自分の夢だけを追う人間よりも強いと信じているからです。

目的に向けたカギは3つあります。

①選手もスタッフもなりたい自分、理想の自分に向かう
私は15年間、女子日本代表チームに関わってきて、自分に自信を持てない選手を何人も見てきました。「私なんて…」という言葉もたくさん耳にしてきました。代表選手であっても自信を持てないのです。きっと、バスケ界全体を見渡せば、もっと多くの割合でこのように自信を持てない選手がいると思います。
だからこそ、なりたい自分や理想を語る人が増えるように、まずは私たちがその理想を語っていきます。そして、理想を語りはじめた人に対し、「いいね、君ならできる」と応援できるようなバスケ界にしていきたいと考えています。

②夢を抱いて全力を尽くす考え方を大切にしたい
数年前まで私は高圧的なコーチでした。人は厳しくしなければ、がんばらないと考えていたからです。結果だけを求めることで、私はいつしか寂しい人間になっていました。たくさんの学びの中から気がつくことができました。人は夢を心に抱いて、効果的な方法を理解して、自信があれば、全力を尽くせる存在です。選手やスタッフは、選手たちが夢を抱いて全力を尽くせるように誠実に向き合い、相手を信頼し、尊重する言葉で成長へと導きたいと考えています。

③選手が自信を持って判断するバスケットの追求
ナンバープレーにより選手がロボットのように動くのではなく、フリーで選手が混乱することもないバスケットの仕方を追求しています。そのためのカギを原則としています。原則を生かして、瞬時に5人が自信を持って判断し、シンクロできることを目指します。選手自身が自分でバスケットをする感覚を大切にしたいです。

代表チームは結果が全てであることは理解していますし、最重要課題だと考えています。だからこそ、代表チームの重責の中でも理想を語り、理想に向かって挑戦し続けることできれば、夢を与えられる存在になれると考えています。

私たちの金メダルに向かう挑戦によって、私も夢を抱いて挑戦したいという思う人が増え、そんな人で溢れるバスケ界になれば、私たちの目標と目的のどちらも達成できると信じています。
ワクワクが溢れるバスケ界に皆様とともに向かっていきたいと思っています。

■東野智弥技術委員長
【男子日本代表】キーワード「日本らしいバスケで勝つ」
日本らしさとは、トム・ホーバスヘッドコーチが女子日本代表で体現した「日本一丸のチームワーク」「粘り強いディフェンス」「リバウンドの徹底」「切り替えの速さ」「3ポイントシュートの精度」「フロアバランス良くスペースを作ってシュートを決める力」。
日本らしいバスケで勝つためにも、バスケ力の徹底が必要となります。その上に戦術を描き、国内外の選手同士のコミュニケーションが必要であり、それをできるのがホーバスヘッドコーチです。

①オリンピックでの戦いを踏まえ、経験から結果を出すこと
②2年後のFIBAワールドカップへ向け、アジア大陸No.1を目指す。アジアのライバルに勝てなければ、3年後のオリンピックの舞台にも立てません。その目標に向かって、戦術を立てられるホーバスヘッドコーチに期待しています。

【女子日本代表】キーワード「金メダルを目指し、さらに積み上げる」
恩塚ヘッドコーチに期待する7つのポイント
①チームの規律と遂行の能力の高さで勝ち獲った東京オリンピックでの銀メダルに対し、選手の力を引き出す指導力を今後のバスケ界のモデルとしたい
②原則をもとにプレーヤー自身が判断できるバスケットに取り組み、さらなる上を目指していく
③代表選手であってもコーチの指示を待つことが見受けられたが、恩塚ヘッドコーチのメソッドや規律をうまく原則に落とし込み、良い形でトレーニングに遂行できるコーチング
④ビデオや数字などのデータを活用するのは、アナリストとして活躍された恩塚ヘッドコーチならではの特徴であり、試合へのアプローチや練習での積み上げが成果に表れてくる
⑤他のスタッフの力を生かすコーチング
⑥ポジティブな言葉を使ったコーチングが次へのステップへ導いてくれる
⑦「義務感を使命感に」という言葉にワクワクし、そのワクワク感を全ての人たちと共有する

 女子日本代表は、9月27日(月)よりヨルダン・アンマンにて開幕する「FIBA女子アジアカップ2021」での5連覇に挑みます。男子日本代表も2023年に沖縄(フィリピン、インドネシア/3カ国共催)で開催される「FIBA ワールドカップ2023」へ向けたアジア予選が11月25日(木)に予定されており、初戦の相手は中国です。新たな戦いへ向けた男女日本代表チームの活躍にご期待ください。