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【5人制女子 / 準々決勝 大会レポート】日本86-85ベルギー:残り15.2秒、林咲希選手の逆転3ポイントシュートで勝利し、史上初のベスト4進出決定
AKATSUKI FIVE 女子日本代表は前回のリオデジャネイロ大会に続き、東京2020オリンピックでも決勝トーナメントへ進出し、準々決勝に臨みます。対戦相手のベルギーとは20日前に強化試合を行ったばかりであり、その時は勝利しています。手の内を知る相手と最後までもつれる接戦を制し、86-85でベルギーに勝利。男女合わせてオリンピック史上初となるベスト4進出を決めました。



「相手の4番ポジションに対し、シューティングポジションが絶対にあると思っていました」というトム・ホーバスヘッドコーチは、今大会初となるシュートが好調な宮澤夕貴選手を先発で起用します。その狙い通り、宮澤選手の3ポイントシュートから日本の得点が動きます。ディフェンスでは、ベルギーのエースである#11エマ・ミースマン選手とマッチアップ。髙田真希選手とともに身体を張って守り、前半を8点に抑えましたが41-42とベルギーにリードを許して後半へ向かいます。

第3クォーター、ベルギーに速攻やオフェンスリバウンドを取られて失点が増え、最大13点差をつけられました。その苦しい時間帯に、髙田キャプテンや宮澤選手が「まだ大丈夫だから、今は我慢しよう」と声をかけ、ディフェンスとリバウンドを徹底させます。61-68で第3クォーターを終えた後、ベンチに戻って来た選手に対し、ホーバスヘッドコーチは「ターンオーバーが多かったのでそこを修正し、ディフェンスではトラップを仕掛けました」という支持通り、相手のミスを誘います。宮澤選手が連続3ポイントシュートを決め、残り6分10秒には髙田選手も続き、72-72同点。しかし、どちらも譲らぬまま、時間が過ぎていきました。

第3クォーター終盤から先発メンバーがそのままコートに立ち続け、流れを引き寄せます。10分以上起用できるのも、「他のチームよりも体力では絶対に優っている」とホーバスヘッドコーチが言う自信があるからです。シーソーゲームとなり、体力とともに気持ちが重要となるクライマックスに、大仕事をしてくれたのが林咲希選手でした。

残り15.2秒、ショットクロック8秒からペイントにアタックしてディフェンスに囲まれる町田瑠唯選手から、トップで待つ林選手にパスがまわってきます。ディフェンスの動きを見て、冷静にドリブルでかわして3ポイントシュートを沈めます。

「メンタルのところで、どこまで気持ちを落とさずにやり切るかが大事です。苦しいときでも、自分の仕事を全うできるのが自分の強みです。でも、以前まではプレッシャーに感じることもありましたが、それを強みに変えることができたのがこのオリンピックです。良い結果につなげられて良かったです」

86-85で日本がリードを奪った後、ベルギーは最後のタイムアウトを取り、エンドラインからのオフェンスを選択します。しかし、体力で上回る日本がフルコートディフェンスでプレッシャーをかけます。この試合で24点を挙げていた#5キム・メスタグ選手のシュートが外れてタイムアップ。ベスト8の壁をついに乗り越え、前人未踏の準決勝への進出を決めました。



歴史を切り拓くシュートを決めた林選手が、最後の場面を振り返ります。「ボールをもらったときに3ポイントシュートラインから少し遠いところで受け、(ショットクロックの)秒数も少なかったです。最初にシュートを狙ったときに相手が飛んでくれたので、そこからは練習通りのプレーでシュートを打つことができました」と練習の成果を発揮します。「林選手のディフェンスが空いているのにドライブしてしまったり、パスしてしまったら自分たちのリズムではないです。最後はディフェンスがいながらもシュートを打ったことで、彼女の役割を徹底してくれました。あれが彼女のリズムでもあり、チームのリズムです」と髙田選手が言うように、それぞれに与えられた役割を全うしたことで、この逆転シュートにつながりました。それも気持ちで負けていなかったからであり、「ベルギーのディフェンスはタフに間合いも詰めてきて、なかなかシュートを打たせてもらえませんでした。そこを振り切るために動きながらでも、目の前にディフェンスがいても、シュートを決め切れたことは気持ちだったと思います」と髙田選手は勝因を挙げます。

しかし、この勝利も目標を達成するための通過点に過ぎません。日本戦に続いて行われたスペインvsフランス戦も接戦となり、67-64で勝利したフランスと準決勝での対戦が決まりました。今大会の開幕戦で対戦し、74-70で辛勝。リベンジに燃えるフランスに対し、強い気持ちで立ち向かっていくだけです。本当に負けてしまえば終わってしまう準々決勝に対し、「たぶんですが、この試合に緊張やプレッシャーを感じている選手は誰もいなかったと思います。そこが今のチームの強みであり、良い意味で楽しくバスケができていることが結果につながっていると感じます」と髙田キャプテンが言うように、1戦1戦チームは進化しています。「簡単にいえば、やるときにはやる集団になってきており、チームの雰囲気もすごく良くなっています」と続け、これが今の女子日本代表の強さです。

この試合に勝ったことで、東京2020オリンピックであと2試合戦えます。日本vsフランスの準決勝は、8月6日(金) 20時に行われます。