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【5人制女子 / 予選ラウンド第1戦 大会レポート】日本74-70フランス:東京2020オリンピックを勝ち抜くためにも、初戦に勝負を懸けた3ヶ月間
2016年リオデジャネイロオリンピックに続き、2大会連続出場を果たしたAKATSUKI FIVE 女子日本代表の初戦はフランスと対戦。その前回大会でも対戦し、79-71で勝利しています。しかし、FIBAランキングは5位、日本の10位より上位にいる強豪であり、厳しい戦いは免れません。

なかなかリズムをつかめず、ペースを上げられないまま前半は34-36と2点を追う日本。しかし、後半開始早々、#0 長岡萌映子選手がインサイドを強気で攻め、ファウルをもらいながらフリースローで連続得点を挙げ、逆転します。最大8点差とする場面もありましたが、フランスのエースであり、最も警戒していた#7 サンドリーヌ・グルダ選手の活躍からピンチを招きます。フランスの猛追をなんとか凌ぐ日本でしたが、第4クォーター残り5分50秒、55-57と逆転されます。

そのピンチを救ったのが、要所で決めた3ポイントシュートでした。長岡選手が決め、61-59とリードを奪い返します。続けて#27林咲希選手が2本連続で3ポイントシュートを決めますが、フランスに返され、シーソーゲームとなります。残り28.2秒、長岡選手がふたたび3ポイントシュートを沈め、72-68と4点差をつけます。少なくなる残り時間とともに、この時点でフランスのチームファウルが1つだったこともあり、74-70で逃げ切った日本は白星スタートを切りました。苦しい試合を戦い終え、「一番うれしいのは今日の試合に勝てたこと」と長岡萌映子選手は安堵の表情を見せます。



チームハイとなる12点を挙げた林選手ですが、ともにコートに立った#32 宮崎早織選手からの助言もまた、アシストになっていました。「マークが空いているのは分かっているけど、パスを出しにくいからもう少しズレを作るために動いて欲しい」という話があり、林選手自身も「自分からボールを呼んだらパスを出してくれて、決め切れたことがうれしかったです」と試合の中で対応した結果、勝利を呼び込みます。

オフェンスだけではなく、高さで劣る日本が徹底しなければならないディフェンスでも、良いコミュニケーションが取れていました。#8髙田真希選手は、「フランスのようにインサイドを攻めてくる相手に対して、自分のマークマンとボールマンに対してしっかりと手を広げながらダブルチームがうまくできていました。良い連携ができていたので、そこは今後も徹底していきたいです」とチームディフェンスにより、強豪フランスを70点に抑えたことも、この試合の勝因です。



前回のリオデジャネイロオリンピックまでは6チーム×2グループで予選ラウンドが行われ、必然的に5試合を戦うことができました。しかし、今大会は3つのグループに分かれ、4チームで争うルールに変更となり、「試合数が多い方がもちろん良いですし、リオの時とは全然違います」とトム・ホーバスヘッドコーチは言い、その準備も異なります。同グループにはヨーロッパ2位のフランスとともに、オリンピック6連覇中のアメリカ、アフリカチャンピオンのナイジェリアがひしめき合うタフな戦いが待っており、しかも3試合しかありません。「このグループを抜けるためにも、初戦に勝たなければいけないと思っていました。だからこそ、3ヶ月間の長い期間を使って初戦のフランスだけを対策し、勝負を懸けてきました」とホーバスヘッドコーチは明かし、この初戦に集中してきたわけです。この勝利の意味合いは大きく、全員出場を果たしたことで若いチームが勢いに乗るためにも最高のスタートとなりました。

次戦は7月30日(金)13:40より、世界チャンピオンのアメリカと対戦します。フランス戦での活躍に手応えを感じる最年少20歳の東藤なな子選手は、「アメリカ戦でも逃げずに強気で向かっていきたいです」と抱負を語ります。シックスマンとして悪い流れを切る活躍をした#30 馬瓜エブリン選手は、「アメリカを相手にもやることは変わらないですし、特別なものを用意しているわけでもありません。日本の強みであるディフェンスと、そこからのトランジションをアメリカ戦でも継続して徹底していければ、楽しいゲームになるのではないかと思います」とこれまで努力した成果を出すだけです。

女子日本代表選手だけではなく、Wリーグでも指揮を執る名将たちも東京オリンピックの舞台に立っています。スペイン代表のルーカス・モンデーロヘッドコーチ(トヨタ自動車アンテロープス)、セルビア代表のマリーナ・マルコヴィッチヘッドコーチ(デンソーアイリス)はそれぞれ昨日の初戦を飾り、2大会連続のメダル獲得に向けて好発進を切りました。決勝トーナメントで対戦するためにも、勝ち上がっていかなければなりません。