COLUMN

~宮地陽子のGO FOR 2024~海外日本代表候補選手奮闘記~
富永啓生 『勝てなかったのは悔しいですけれど──こうやって大舞台でプレーできたのが本当によかったかなと思います』


富永啓生のネブラスカ大での最後の試合は、笑顔で始まり、涙で終わった。

夢の大舞台、NCAAトーナメント1回戦のテキサスA&M大戦。富永は試合開始から間もなく、サイドステップでディフェンスをかわして右コーナーから3ポイントショットを沈めると、両手をこぶしにして喜びの雄叫びをあげ、笑顔を見せた。それから数分の間にさらに2本の3ポイントショットを立て続けに成功させると、憧れのステフィン・カリーから盗んだ、両手を頬に当てるセレブレーションで会場を盛り上げ、沸かせた。

1本のシュートでここまで会場と一体になれる選手はそう多くない。楽しそうにプレーする富永の姿に、アメリカでも多くの人たちが引き付けられていた。チームメイトやファンだけでなく、初めて富永のプレーを見たような人でも、楽しそうに次々にシュートを決める姿や、決めた後に素直に感情を表す様子に喝采を送り、会場中にエナジーが、そして楽しい空気があふれていた。

この1週間前、ビッグテンカンファレンス・トーナメント準々決勝のインディアナ大戦でもそうだった。前半の終盤に2本連続で3ポイントショットを成功させ、さらに前半終了間際には、自分より大きな選手にマークされるなか、ステップバックから3ポイントショットを放った。ボールが高い弧を描いてリングに吸い込まれると、会場から割れんばかりの歓声が起こり、富永はチームメイトたちといっしょにスキップをしながらロッカールームに戻っていった。まるで遊園地を走り回る子供のような姿にさらに笑顔が広がり、ファンや中継を担当していた解説者たちは「なんて楽しそうにプレーするんだ」「彼はテレビで見られる最高のショーだ」といった感想を語り合った。

・・・
このコラムの続きはAKATSUKI JAPAN plus+会員のみご覧になれます。
まだ会員登録がお済でない方はご登録の上ご利用ください。

ログイン

ファンクラブ入会はこちら!