COLUMN

~宮地陽子のGO FOR 2024~海外日本代表候補選手奮闘記~
ジェイコブス晶 『自分がもっと成長しなきゃいけないだけ。これからもっと頑張ればいいか、と思っています』

試合終了のブザーが鳴ると、ジェイコブス晶はボールを手に、ベンチから立ち上がった。

11月下旬、ジェイコブスが所属するハワイ大はカリフォルニア州パームデザートで開催されたミニトーナメント、アクリシュア・インビテーションナルで2試合を戦い、2連勝で優勝した。しかしジェイコブスが試合に出たのは1試合目の最後の1分8秒だけ。出番がないままに終わった決勝戦後、まるで試合でボールに触れなかった分を取り戻すかのようにチームの優勝記念撮影の間もボールを離そうとしなかった。そしてその後、空いたコートでシュートをして遊ぼうとしていた子供たちの間を割ってゴールに向かうと、ダンクを1本決めてからコートを後にした。

「試合の最後のほうは(ファウルゲームになって)ちょっと長かったですね。少し動きたい気持ちでした」
ジェイコブスは後から苦笑しながら、そのときの心境を説明した。

「ボールは、いつでも触りたいと思っていて、(寮の)部屋でもバスケットボール触っています。(コートを離れる前にダンクしたのは)シュートがしたかっただけで、特に深い意味はないです」

ジェイコブスがオーストラリアのNBAグローバル・アカデミーを経て、NCAAディビジョンⅠのハワイ大に入って約半年。203cmの長身でシュート力を持つ彼にかかる期待は大きいが、NCAAで多くの1年生選手がそうであるように、今はまだ新しい環境での生活やバスケットボールに適応することに必死だ。生活面では勉強と練習をバランスよく両立させる生活リズムに慣れること。バスケットボール面では大学のスピードやパワーに慣れ、新しいシステムを覚えてチームの一員として貢献できるように成長すること。実際、今はまだローテーション入りできていず、僅かな出番が回ってくるのは、いつも点差がついた試合の最後だけ。長くて数分の時間だけに、ボールを触るのも1、2回、シュートを打つ機会すらないことも多い。

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