COLUMN

~宮地陽子のGO FOR 2024~海外日本代表候補選手奮闘記~
富永啓生 『大事にしたいことは、バスケットをできる環境だったり、レベル。』

富永啓生の左手を離れたボールは、弧を描き、リングに向かっていった。

今年3月、ビッグテン・トーナメント1回戦で、富永が所属するネブラスカ大は、ミネソタ大と対戦していた。追いつけそうで、あと一歩が追いつけなかった試合終盤、残り1.3秒で3点を追っていた場面でシュートを任されたのは富永だった。奇跡がないと追いつけないような状況だ。

しかし、それでも、その場にいた人の多くは「ケイセイなら決めるかもしれない」と思っていた。そして、富永がハーフコート近くから放ったロングシュートは、まっすぐリングへと飛んでいった。

富永自身も、打った瞬間には「入るかもしれない」と思ったという。

しかし、ボールはリムの奥に当たり、跳ねて、外に落ちた。シーズン終了が決まった瞬間だ。富永はヘッドバンドを取って床に投げ捨てて悔しさを発散し、万事休すとばかりに天を仰いだ。

「あと1秒しかなかったんで、持った瞬間に打つしかなかった」と富永。「実際の話、入りそうな感じはあったんですけど、ちょっと強くて、外れてしまいました」

こうして、富永のネブラスカ大2年目の、最後となるかもしれないシーズンが終わった。

1回戦負けという悔しい終わり方だったが、
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